3つのターニングポイント
ハンズフリーで着脱できるEasyONシステムを搭載した「ナイキ エア フォース 1 ‘07 フライイーズ」1万5400円/ナイキ スポーツウェア(NIKE カスタマーサービス 0120-6453-77)
「エア フォース 1」には3つのターニングポイントがあり、それぞれに立役者がいた。オリジナルシックス、スリーアミーゴズ、そしてヴァージル・アブローに連なるヒップホップの系譜だ。
オリジナルシックスはモーゼス・マーロン、ボビー・ジョーンズ、マイカル・トンプソン、カルバン・ナット、マイケル・クーパー、ジャーマル・ウィルクスという6人のNBAのスターのこと。ナイキはその立ち上がりに際し、かれらに履かせて大々的なキャンペーンを打った。
隔世の感があるが、かつてバスケットボール市場はコンバースとアディダスが席巻していた。ナイキがバスケットボールシューズを投入したのは1972年のこと。ハイカットの「ブレーザー」、ローカットの「ブルイン」がそれだ。いずれもいまなお愛される名作だが、その牙城を崩すまでにはいたらなかった。
起死回生の一手として1982年にローンチしたのが「エア フォース 1」であり、そのアイコンとなったのがオリジナルシックスだった。
オリジナルシックスを起用した広告ビジュアルには威風堂々とした飛行機が写り込んでいる。その機種を言明した資料はないが、おそらくは大統領専用機のエアフォースワンをイメージしたものだろう。モデル名の由来となったのは、なるほどくだんの大統領専用機だった。
大統領専用機になぞらえるほどの自信の源はエアクッションシステムにあった。1978年にローンチされたランニングシューズ「テイルウインド」が初お目見えとなるエアクッションシステムは宇宙飛行士のヘルメットの技術を応用したもので、圧縮ガスを充填したポリウレタン製のエアバッグをミッドソールに埋め込んだ。
バスケットボールシューズとしてははじめてエアクッションシステムを搭載した「エア フォース 1」は瞬く間にプレーヤーの心を掴む。ヴァルカナイズ製法のそれまでのスニーカーに比べれば、履き心地は天地の差だった。
CONCENTRIC CIRCLE OUTSOLE(同心円を描くアウトソール)、PROPRIOCEPTORS BELT(体の動きに対応するベルト)、VARIABLE WIDTH LACING SYSTEM(幅が調整できるレーシングシステム)という3つのファンクションもまた、「エア フォース 1」を語るときに欠かせないものである。
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