R値に現れない、+αの要素も検討材料にしよう
ここまでの話は、スリーピングマットの購入を検討した経験があるユーザーであれば、ある程度は知っていることかもしれない。
しかし、意外に知られていないのが、「R値は足し算で考えることもできる」ということ。たとえば、R値が1.5のマットと2.5のマットを2枚持っているとしよう。2枚を重ねるとR値は4.0。つまり、冬でも使える数値になるので、冬用にマットをもう一枚買い足さなくてもやりくりできてしまう。
熱を反射させるアルミを蒸着させた「Zライトソル」。安価な類似品はアルミ塗装だったり、熱を反射しないものもあるので注意。
R値2.0のZライトソルが雪上でも使えるのは、上のような遮熱効果を備えているからだ。
また、表面にアルミを蒸着させたり、内部にアルミのシートを封入することで、寝ている人の体温を反射して暖かさを得る(熱を遮る)タイプのマットを使っている方もいるだろう。
実は前述の通り、R値は断熱性を示すための数値なので、このアルミ蒸着によって反射される自分の体温の暖かさはR値には反映されない。
つまり、R値の数値は同じでも、アルミによる遮熱性があるマットは数字以上に暖かさを感じられる。
アルミのシートを4枚封入し、高い輻射性を実現した「ネオエアXサーモ NXT」は、R値以上の暖かさを感じられる代表的なモデル。
たまに、マットの銀の面を下にして敷いているのを見るが、体温を反射させるには上向きが正解。前述のように、手持ちのマットを2枚重ねで使うときにも、銀の面があるマットを必ず上に配置しよう。
この原理を利用した裏技として、マットの上にエマージェンシーシートなどの薄いアルミシートを敷けば同様の効果を得ることもできる。
透過させてみると、シートの有無がよくわかる。左の「ネオエアーウーバーライト」はシートがない分、軽量コンパクトなのが特徴。
ちなみに、夏の太陽に焼かれた暑い砂浜で眠るときには、あえて銀の面を下にするといい。体の熱を反射させずに、地面からの熱を遮断できることを頭に入れておこう。
体感温度は表面の生地の肌触りでも変わるし、個人差も大きい。
と、ここまで書いたように、R値は大まかなマットの特徴を把握するために非常に役立つ数値ではある。しかし、必ずしもR値だけでマットの暖かさが測れるわけではない。
R値だけでなく、収納サイズや重量とのバランスも考慮して選ぼう。
温度の感じ方は個人差が大きいので、まずは手持ちのマットのR値を把握し、その数字をひとつの目安にしながら必要な目的にあったマットを探してみていただきたい。
[取材協力]モチヅキ0256-32-0860(ユーザーサポートダイヤル)e-mot.co.jp