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「走り方がいい」と感じた選手は40歳の"あの選手"

秋本氏が西武のスプリントコーチを務めるなかで、特に走り方がいいと感じる選手が2人いる。ともに40歳の栗山巧と中村剛也だ。

栗山は名球会入りとなる2000本安打を達成、中村も六度のホームラン王&現役最多の471本塁打を放つなど、ともに球史に残る名選手だ。

「走り方をあまり意識しているわけではないけど、中学のときに陸上をしていたのでドリルはやっていました」(栗山)

「走り方は小さい頃から変わっていないですね。自然です。この体型(175cm、102kg)なので、どうやったら速く走れるかと思っていました(笑)」(中村)

前述したように、地面を強く蹴りすぎたり、接地時間が長くなりすぎたりすると、体に負担のかかる走り方になりやすい。つまり、故障のリスクも高くなる。

ともに40歳を迎えて現役を続ける中村と栗山は、正しく走れているから長くプレーできているとも言えるわけだ。

スポーツ選手は「走る」という行為から、多くを学ぶことができる。だからこそ秋本氏は、走るトレーニングを通じてさまざまなことを吸収してほしいと願っている。

ファーム降格中だった隅田知一郎投手(右)は秋本コーチ(左)に熱心に質問(筆者撮影)

ファーム降格中だった隅田知一郎投手(右)は秋本コーチ(左)に熱心に質問(筆者撮影)


飛躍のカギは、正しく「走る」こと

「体の使い方や、速く走るために力を一瞬でどう使えばいいのかなどは、バッティングやピッチング、ボールを蹴る動作にも生きてくることです。選手たちが走り方を学習し、自分の行っているスポーツの本職がすごくよくなったと思ってもらいたいですね。

自分ができないことをできるように変えていくうえで、『走る』ってすごくわかりやすいことです。

例えば、ライオンズの隅田知一郎投手は坂道ダッシュで『僕が前屈するのはクセですよね』と言っていたけど、『そうです。クセがあるということは、クセがつくまでそのフォームでやり続けたからじゃないですか。そう考えると、新しいやり方でやり続ければ、いくらでも良い方向に直せますよね』という話をしました。僕は本当にそう思っているので」

走るトレーニングを通じ、西武の選手たちは何を学んでいくのか。

秋本氏が伝える真髄をモノにできれば、選手として大きく羽ばたいていける可能性がある。


*1回目の記事「西武ライオンズ『若手の伸び悩み』解消する新挑戦」

*2回目の記事「西武ライオンズ『獅考トレーニング』驚きの全貌」

*3回目の記事「西武ライオンズ『若手の"やる気"に頼らない研修』の裏側」




中島大輔=文
東洋経済オンライン=記事提供

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