球界でも飛び抜けた身体能力を誇る一方、独立リーグ時代の2022年途中まで投手としてプレーおり、「正しい走り方」は身についていない。そこで今年、専門家である秋本氏に見てもらい、ポテンシャルを引き出せるようにアプローチしている。
その中で特に指摘されたのが、「体を倒しすぎるクセがある」ということだった。
坂道ダッシュでは前傾を体で覚えやすい(筆者撮影)
選手のクセを、どう改善させていくか
「前屈はダメだけど、前傾はOK。前屈になると骨盤が後ろに持っていかれるので、足が引っかかって上げにくくなるので。地面を蹴る動きもNGです。
『走るときには地面を蹴っているじゃん』と思われるかもしれませんが、速い選手ほど着地時間が短いと言われています。
桐生祥秀選手が100メートル走で初めて9秒台を出したとき、0.08秒しか地面に着いていないというデータがあります。つまり、地面に足が着いたらすぐに離れているということです。
対して野球選手の場合、地面に着いて、蹴ってという動きが強いので、足が後ろでグルンと回ってしまう傾向にある。もったいないと感じています」
こうしたクセをどのように改善させていくか。それこそコーチの腕の見せどころだ。
まず大事になるのは、「走るスピード=ピッチ×ストライド」のように正しい知識を知ることだ。そのために、西武では走り方について「座学」で教えている。
次にグラウンドで「実践」し、その様子をiPadで「撮影」する。選手と一緒に映像を見ながら「確認」し、直すべき点があれば「修正」していく。
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