歳をとるにつれ、記憶力や集中力が低下したと感じる人も多いことだろう。
「認知機能のピークは20代」という報告もあるようだが、諦めるのは早計だ。
今回は、認知症予防などの診察を行うブレインケアクリニック名誉院長の今野裕之先生に脳を若く保つための秘訣について伝授いただいた。
話を聞いたのはこの人! 今野裕之先生●ブレインケアクリニック名誉院長。日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、代表理事。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニック開院。著書に『最新栄養医学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春新書インテリジェンス)などがある。
記憶力低下の原因は「加齢」以外にも
――認知機能は20代をピークに低下すると言われていますが本当ですか? 人それぞれなので一概には言えませんが、一般的に集中力や記憶力などの認知能力のピークは20代で、40代後半から低下するとされています。
集中力や記憶力など認知能力の低下の主な原因は、年齢を重ねることで脳の血流が悪くなり、脳に十分な酸素や栄養が届きにくくなることや、免疫の働きが悪くなって脳に老廃物が溜まりやすくなったりすることだと考えられています。
――加齢以外にも原因があるのですか? オーシャンズ世代は、社会的な環境の変化も大きく関係するでしょう。仕事が忙しいだけでなく、プライベートでも家事や育児、介護など考えなくてはいけないことが多くなり、疲れやストレスを感じやすくなっている人も多いはず。このような状況が続くと、1つ1つに集中できなくなるため、脳に記憶が定着しにくくなります。
――ストレスも関係しているのですね。脳にどういった影響が出るのでしょう? ストレスに長期間さらされると、脳の萎縮につながることがさまざまな研究で解明されてきています。脳の中でも特にストレスの影響を受けやすいのが、記憶に関わる“海馬”。
ストレスによってコルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌されると、海馬が萎縮します。記憶力などの認知機能が低下するだけでなく、将来、認知症の原因になる可能性があります。
ーーストレスが認知症にもつながるんですね……。 ただ、脳の老化はある程度コントロールすることができます。脳を活性化する方法をいくつか紹介するので、ぜひ実践してみてください。
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