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これから先も街は海とともに生きる

こうしたビーチのマネジメントに関する話を聞くと、いずれも利用者の観点から行われてきたことがわかる。景観美を含めて、利用者が快適さを感じられる場所とするために整備は行われるのだ。

その姿勢は、往時の王妃が夏を楽しく過ごす街であったというルーツに強く関係しているのだといっていい。

また、環境に対する配慮やサステナブルが強く求められる現代に即した対応も見られているとモレノさんは言葉を紡ぐ。

実際、2000年にはビーチを包括的に管理する環境管理システムを取り入れ、環境マネジメントシステムに関する国際規格のISO14001およびEUによる環境管理制度、EMASの認証を取得したという。その動きは、美しい海を永続的なものとすることが街のポリシーなのだとするスタンスを示したものだと言っていい。

いわばサン・セバスチャンは、そこに暮らす人たちと歩調を合わせ、今後も海とともに生きていくことを決めたことになる。

だからこれから先の時代に見られる街づくりは、世界に数多ある海辺の街にとって大きな道標となっていくに違いない。
THE SEAWARD TRIPが一冊の本となって発売中!

1980円。イカロス出版

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2012年から続いている本連載が一冊の本『海と暮らす〜SEAWARD TRIP』となって登場! これまで本誌で紹介されてきた記事から20人のインタビューと20本のコラムを厳選して綴じたもので、「暮らしを豊かにする金言」がたっぷり。

海との距離をギュッと縮めてくれる内容は、まさに“海をいつも感じていたい”という気分にぴったりなのだ。


サン・セバスチャン市=写真 小山内 隆=編集・文

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