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国内外のトレンド傾向を考察



ーーこの3足が人気だった理由を、蛯原さんなりに考察すると?


蛯原 どれもテッキーで、わかりやすい原色系のものではなく、落ち着き目の渋い色ですよね。それに「ACS + CSWP」をはじめ、もともとはスポーツシーンを想定して作られたモデルが、日常で履かれるようになっているのは、時代の流れを感じますね。

ーーいわゆるヴァージル・アブローの「ザ テン」が流行った時代(2017〜2020年頃)とは、大きく変わりましたよね。

蛯原 僕自身も、落ち着いた色を選ぶことが多くなりました。というのも、スニーカーは景気に影響して、売れる色が左右されやすい。「景気が不安定になると、黒と白が売れる」と言われているんです。

今、世界的に見ても経済が上向きではないですよね。一般的に値段が高く、嗜好品に位置付けられるようなスニーカーを買う場合、安定志向に走る……これが背景にあるんじゃないでしょうか。



ーー蛯原さん自身がよく履いていたモデルを振り返ると?


蛯原 「エア ジョーダン」シリーズが好きなので、復刻した「エア ジョーダン 3 “ホワイト セメント”」や「エア ジョーダン 4 “サンダー”」、国内で久しぶりに発売された「エア マックス CB 94」。

ナイキ以外だと、履き心地が良かったアディダス オリジナルスとの別注モデル「キャンパス シュプリーム ソール “ブラック&ホワイト”」などを気に入って履いていました。

ーーまた、友人や街行く人の足元を見て思うことはありましたか?


蛯原 街で履かれているスニーカーを見ると、オンの着用率がより上がっていると感じます。社内でもよく見かけますね。プロテニス選手のロジャー・フェデラーが参画(2019年)してから、海外、特に東南アジア系の勢いが強くなっています。

アトモスでは、それ以前から取り扱っていたんですが、2023年に入ってなおさらグッと伸びていますね。

ーーオンは、手頃な価格帯も後押ししているんでしょうか?

蛯原 国内は為替の影響をまだ受けておらず、ほかのスポーツブランドより値上がりが遅い感じですね。だから、免税で購入されていく海外のお客さんは多いです。

ーーやはりパンデミックが明けたことで、インバウンド消費は回復傾向にあるのでしょうか?

蛯原 単なる旅行だけでなく、消費する人も増えている印象です。店舗の売上も回復傾向にあり、東京・表参道店や大阪・心斎橋店では、パンデミック前に近い盛り上がりになっていますね。


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