東京藝術大学 大学院映像研究科 ゲームコース在校生・山根風馬さん
「ゲーム制作の中にあるゲーム性が面白い」
| 山根風馬さん 1999年生まれ。2022年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、現在は同大学院映像研究科アニメーション専攻修士1年。ゲームや映像、インスタレーション作品を主に制作している。海洋のゲーム「Whale Fall」を個人で制作しており、2023年夏にSteam・Epic Gamesにて発売予定。 Twitter:@Fuma_Yamane |
僕がゲームをするのは、別世界を体験してみたいという興味と、目標達成による高揚感を味わうためです。ところがゲームを作るようになってからは、その中にあるゲーム性に魅了されてしまいました。どうしたら理想のゲームが作れるのか熟考し、作戦と努力の蓄積によってゴールを目指す。それはまるでゲームで遊んでいる時と同じような楽しさがあるんです。
ゲーム制作をしている身としては悔しいのですが、最近ゲームを取り巻く動きとして面白いと感じているのは、AI。NPC(プレイヤーが操作しないキャラクター)がAIを用いてプレイヤーと会話したり、背景やキャラクターをリアルタイムに生成することが可能になってきています。この先は、僕らが寝ながら夢を生成するように、無作為な世界で無作為な設定を体験することが可能になると思います。
また、ゲームをプレイすることの価値は、ドキュメンタリー映画を見るような感覚に近くなるとも感じています。AIがあらゆる世界を自動生成して、プレイヤーが好きなようにすべてを体験できるのは、現実の僕らと世界との関係に近い。それでも僕らがドキュメンタリー映画を観るように、すべてが思い通りに作れる世界になったとしても、誰かが切り取った作為的な視点の記録を体験することに価値を感じられるのではないかと思います。
山根さんが個人で制作した海洋のゲーム「Whale Fall」