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キタノ・ブルー



北野 武さん 
「とにかく赤と黄色がいっさい出てこないようなとこばっかし選んでたら、それがブルーっていわれるようになったよね。これが日本の色なんだよね」(2008年9月『女たち』(ロッキング・オン刊)より)。

上のコメントには前段があり、“キタノ・ブルー”と呼ばれるトーンが定着した背景について、「空の色とモノトーンという色彩表現に“逃げた”ことが大きい」とも語っている。

外国映画における海外の街並みは統一感があり、景色として成立しているが、「日本は高層ビルや湾岸のような唯一使いたい場所はほぼ撮影禁止で、ほかはいっさい使えるところがない。ネオンがガチャガチャしていて、香港などと区別がつかず、東京らしくしようとしても街並みでは描けない」。

そこで、色を統一できる場所として選んだのが、下町の工場街だったという。

1996年公開の『キッズ・リターン』で見られるような、トタンのグレーや黒。ここに空の色が加わり、コメントにあるように赤や黄色の混入を避けていったら、青みがかった独特な映像美が印象的に残るようになったというわけなのだ。

そのほかの作品でも初期から中期にかけて似たような表現が使用されているケースが多く、2002年公開の『Dolls』以降はこの傾向が弱まったといわれる。


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