オーシャンズ世代にもなると、トレーニングしていても筋肉がつきにくくなってきたと感じている人も少なくないはず。実はそこには、ちょっと複雑な原因が……。
年齢を重ねてからの体づくりについて、筋肉と骨、そしてホルモンについて熟知する整形外科医の金沢輝久先生に聞いてみた。
話を聞いたのはこの人! 金沢輝久●下井整形外科病院 院長。千葉大学医学部卒、東京大学医学部附属病院 整形外科医局OB、日本整形外科学会指導医。東海大学医学部 特任教授時代には、解剖学の教育及び筋肉生理学に基づいたトレーニング方法、腰痛者などへの運動療法に関する研究なども行う。自身が病気による男性ホルモン低下状態に陥った経験から、海外で普及するホルモン治療を学び、治療にも積極的に取り入れている。
密接な関係がある筋肉と男性ホルモン
――中年になると、なぜ筋肉がつきにくくなるのでしょう? 理由は複数考えられますが、中年期以降の男性にとって影響が大きいのは
男性ホルモン(テストステロン)の減少です。
――筋肉づくりには、男性ホルモンが関係しているんですか? 非常に密接で、男性ホルモンはタンパク質合成を刺激し、タンパク質の分解を抑制しますが、これらの作用が組み合わさって筋肥大を促進します。
35~40歳を超えると、体内を循環するテストステロン濃度は年間1~3%ずつ低下し、そこで加齢とともに筋肉量の減少および筋力の低下が生じます。
そのため、
40歳前後から筋力トレーニングの効果が落ちてくるのです。次第に筋線維の数が減り、各々の線維の太さも細くなります。
あれ?と思った方は、男性ホルモンの低下をセルフチェック!
男性ホルモンの低下による影響は筋力以外にも。症状は身体と精神症状に分けられる。
【身体症状】
●筋力低下 ●筋肉痛 ●疲労感 ●朝勃ちの消失 ●ED(勃起不全) ●頻尿 ●ほてり ●発汗 ●頭痛 ●めまい ●耳鳴り など
【精神症状】
●性欲の減退 ●集中力の低下 ●健康感の減少 ●不安 ●イライラ ●抑うつ ●不眠 ●記憶の低下 など
男性ホルモンはゆっくりと減り始めるため、私たちはその影響に気づきにくいのです。
また、これらの症状はすべてが表出するわけではなく、複数当てはまる方は男性ホルモンが減少している可能性があります。「やる気が出ない」「根気がなくなった」「草食化した」と自覚される方も。
下井整形外科病院 作成。
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