日本人だけの会社でも多様
もっと言えば、異文化というのは何も外国人に対してだけのことではありません。近年では日本人でも価値観が多様化していますし、仕事や文化の特徴や会社の採用基準によってそこにいる人々のパーソナリティのタイプは大きく変わります。
実際に私が人事コンサルティングを請け負っている会社でも、パーソナリティテスト(性格適性検査)を実施してどんな性格の人がその会社にいるのかを毎回見るのですが、同じ業界でも、似たような規模でも会社によってかなり異なります。
似たようなパーソナリティの人が多い会社もあれば、まったく正反対の人が半分ずついる会社、多様性が高くバラバラな会社など、会社ごとに違います。
このように同じ日本人でも違うわけです。考えてみれば、「国民性」と言ったところで、その国の人が全員同じ性格などということがあるわけがありません。
パーソナリティテストなどで個々人を細かく見る
つまり、最初にするべきは、社員や組織を見るときに「外国人だから」「日本人だから」などそういう属性のようなざっくりとした枠組みでものを見る解像度の低い捉え方をするのではなく、もっと個性に注目して見ていくということです。
例えば、先に述べたように、日本人も外国人も全員に対して同じパーソナリティテストを実施して、個々人がどんな性格かを把握して、組織全体がどういう性格の人で構成されていのかを知ることが重要です。
分析すれば、職種別、年次別、人事評価別にどんな性格の人がどんな割合でいるかがわかりますし、「うちの日本人」と「うちの外国人」にはどんな性格の人が多いのかもわかります。
属性ではなく個性に注目する
パーソナリティテストは英語対応のものもありますし、クレペリン検査のように、言葉による質問でのテストでなく、作業をさせることで性格を測る、言語によらないテストもあるので、外国人にも同じテストを実施することは可能です。
このようなテストを使えば、「外国人」ではなく「この人はこういう性格」ということがわかります。こういう個性を見ることをせずに、「インド人は」「中国人は」「アメリカ人は」などと捉えていては、マネジメントにおける対応を間違ってしまいます。インド人でも中国人でもアメリカ人でもいろいろな人がいるのです。
集団主義的なアメリカ人もいるでしょうし、個人主義的な中国人もいることでしょう。不確実性を好む日本人もいれば、不確実なことが嫌いな英国人もいるのです。
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