言葉③チーム全員でアウトプットして作った目標なら、全員でそこに向かっていける
Q:大神さんは、現役引退後に大学院に通ってコーチングを学ばれたそうですが、何を求めての選択だったのしょうか。
指導者、教育者とかになった時には、より客観的に物事を話せるとか、理論的に説明ができることがすごく大事だと思ったんです。その時に直感を生むための経験と知識だけじゃなくて、学問という意味でのコーチングの勉強をする必要があるなと思ったのが1つきっかけです。
Q:10月から新たなシーズンが始まります。大神さんがリーダーとして大事にしていることを教えてください。 チームとしては全員で成長するチームでありたいと思っています。なので、このチームが成長していく為に、改善して、より良くするためにどうしていくのかっていうのを全員で考えて、行動にしていく必要があるのかなと思っています。
私個人としては、「常に上機嫌で接する」ということが自分のコーチングフィロソフィーの中でも大事にしてることなので、自分の機嫌は自分で取るって言うところを心がけています。
Q:ビジネスの世界でも育成や、指導法で悩んでいる人も少なくないと思うのですが、どういう声掛けを意識すれば、お互いが成長していく雰囲気を作れるのでしょうか。 簡単に言えば、「私」じゃなくて「私たち」っていうところだと思います。
例えばミーティングの中で私たちが話をした内容で、選手でグループワークをしてもらってアウトプットする時間を作って、私たちにも気づくきっかけをもらうとか、時には選手が企画したチームアクティビティの中で全員でそのグループワークをやるとか、そういう風な時間は、練習よりも大事なことかなと私は思っています。
Q:THE WORD WAYは言葉を大事にしているメディアです。大神さんが大事にしている言葉や、自分の人生を作った言葉などがあれば教えてください。 両親に言われた 「自分で決めなさい、あなたの人生なんだから」という言葉は大事にしています。何をするにしても決断は自分でさせてもらってきましたし、それは「自分が決断したことで、得たものに対して自分でちゃんと責任を取りなさい」って言ってることと同じですから。
やっぱり身近にいる父親の背中をずっと見て育ってきましたし、尊敬してるからこその言葉はすごく大きく、深く、自分の中に残ってますね。
Q:最後に、大神さんの今後の夢を聞かせてください。
私はバスケットボールが好きで、選手でも35歳までプレーさせてもらって、(引退して)今6年目でヘッドコーチっていうポジションをやらせてもらっています。
選手、指導者ときたので、もちろんマネジメントの部分もですよね。選手だけでは関われないですから、そういう色々な視点からバスケットボールを見られるように、次はマネジメントの勉強をしなきゃいけないなと思いますし、本当にいろんな形でバスケットボールに携わっていきたいなというのが自分の最終的なゴールですね。
大神雄子(おおが・ゆうこ)1982年10月17日生まれ、山形県出身。8歳の時に、バスケットボールの指導者の父がコーチ留学したロサンゼルスでプレーを始める。名古屋短期大学付高(現・桜花学園高)に進学し、3年間で7度の日本一となった。2001年にジャパンエナジーJOMOサンフラワーズ(現JX-ENEOS)に入団し、07年に日本人初のプロ契約選手となる。同チームで9度のWリーグ優勝、7度の全日本優勝に貢献した。08年に米WNBAのフェニックス・マーキュリーのキャンプに参加し、開幕ロースターを獲得。日本人2人目のWNBAプレーヤーとなる。13年には中国女子リーグの山西興瑞に移籍し、主力として優勝を経験した。2018年に現役引退後は、トヨタ自動車でコーチを務め、2022年からヘッドコーチ。23年に日本人として3人目の国際バスケットボール連盟(FIBA)殿堂入りを果たす。