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言葉②挑戦するときに知識はいらない。パッションとエナジーさえあればボールは動く



Q:大神さんは07年に日本人初のプロ契約選手になり、08年にはアメリカのWNBA、その後中国でもプレーされました。道なき道を歩み続ける原動力はどこにあるのでしょうか。

背番号も1番でしたし、一番になりたい、一番を自分の中で追求したい。何でも一番やる時というのは物理の原理で言っても一番エネルギーを使うんですよ。でも、転がしてみれば自然と転がっていくんです。

その最初の大きい球をどれだけエネルギーを使って出せるかどうか。そこで大事なのはパッション、エナジーだと思っていますし、そこは「自分はできる」と思っています。

挑戦するときには知識もいらないんですよ。エネルギーさえしっかりあれば、自然とボールは動くし、1回動き始めればその後はそんなエネルギーは必要ないですから。



何かを成し遂げたいとか、何かをスタートする時には、物理の原理だよねっていうのが前提にあれば、エナジーが必要だよねっていうのも、なんか自然と行動に変わる。そういう考え方なんですかね。

Q:今、自分にとって何が必要で、どう生きるべきかを常に客観的に見ていると?

アメリカに挑戦した経験も影響しているかなと思います。1つ、言葉、文化はすごく自分の中で大きかったので。思っていることをなかなか言葉にできずに、自然と引っ込み思案になって、喋れなくなる。

なので、「海外に挑戦したぞ」って今なら思えるんですけど、実際はすごく人見知りで。両親や日本から来てくれた人と一緒に食事するのがすごく楽しくて。その時に思ったのは「家族を大事にしたい」。

あともう1つ、日常生活に慣れるとか言葉、文化の違いっていうのは居心地のいい場所から出るわけだから、コンフォートゾーンからフィアーゾーンに入るんですよ。ポジティブに捉えれば日常をぶっ壊せた経験という意味で、すごく良かったなと思います。



Q:大神さんのように、壁にぶつかった時に、立ち止まらずに新たな一歩を踏み出すには何が必要でしょうか。

一番は自分がどうなりたいかを自分に向けることだと思います。これはすごく大事かなと思います。自分のいいところ、足りないところ、課題を、今の自分に対して、じゃあ何が必要なの、自分はどうしたいのっていう自問自答を繰り返す事って、全然悪くないなと思うんです。

Q:アメリカ挑戦が必ずしも期待通りの結果に終わらなかったということでしたが、大神さんはどのように自分自身と向き合って、その経験を消化したのですか?

アメリカに行って何もできなかったっていう印象が強い中で、日本に戻ってきましたけど、日本にいる人たちは期待するわけです。そこのギャップを埋めるためには、自分が最初のエナジーをどれだけプレッシャーじゃなく、モチベーションに変えられるかだと思いました。



Q:プレッシャーをモチベーションにするというのは、具体的にはどういうプロセスを踏めばいいのですか。

周りは「世界最高のWNBAでプレーして帰ってきて日本でどんなプレーをするんだ」っていう期待ですよね。それに対して、私が「こういうプレーをしなきゃいけない」って考えるのは、プレッシャーです。

そこで、そう思ってくれている皆さんに対して、「じゃあ練習してしっかりやっていければ自分はそういうところをちゃんと表現できる」っていう風に持って行くのがモチベーションです。

アメリカでは言葉にも、文化にもなかなか馴染めなかったですが、考え方を変えて、「日本にいる他の人は誰もやったことがない」と思えればこれも1つの経験なわけです。そうすると直感は絶対に生まれてくると思うので、それを武器にしようと思いました。


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