「そんなのできるわけないでしょ」って言われてきて今日がある
カフェもある「ギャザリング・フォレスト」エリアのシンボルは天井まで届く。
過去に例のないボールパークをつくるにあたり「具体的に動き出したのは8年前」。以来プロジェクトを牽引してきた前沢さんと三谷さん。
「『そんなのできるわけないでしょ』って言われてきて今日があって。できるとかできないとか色々言ってくる人はいるけれど、基本的に可能性は無限大。大人が本気で作ったらこういう球場ができるんだ。
信念さえあればそこに近づける。獲得できるかどうかはさておき、確実に近づけるんだってことは子どもたちには知って欲しかったし、知らしめたかった」と前沢さんは言う。
年齢を問わず大人気な回転する遊具からは大きな笑い声が響く。
「野球を好きかどうかというよりも、まずはこのエリアに来てもらうことが大事。ご家族連れでも、ご夫婦だけでも、子どもだけでも楽しめるようなエリアがいたるところにあります。
この北海道の自然の中で、こういう場所は日本にはなかなかない。試合を見る見ないにかかわらず、北海道に来たら是非立ち寄って欲しいです」。
「ディスカバリー・タウン」には集中力を高めるあそびが満載。
「これじゃなきゃいけないと言う既成概念みたいなものを少しでも多く取っ払えたらというのがベースにあります」と三谷さんも言う。
「根底に流れている意気込みや気概、思いを理解してもらい、ここで働く人にも訪れる人にも、是非自由に楽しんでもらいたい。子育てに奮闘中のお母さんたちにとっても、息抜きの場になればうれしいです」。
北海道ボールパーク「正面」の左手には、ボーネルンドのあそび場だけでなく、子ども用のプレイフィールドが作られている。
誰も成し遂げられなかったことをやってのけた“人”の力で誕生した、進化を遂げた野球場は、今、そのさまざまな要素から沸き起こるシナジーと高揚感、ポジティブなエネルギーに満ち溢れている。
異彩の存在感を放つ「北海道ボールパークFビレッジ」の堂々たる現在の姿は、多くの人々を感動と共感の渦に巻き込むことだろう。そこから広がっていく未来はきっと想像を遥かに超えた世界に違いない。
中西あゆみ
フォトジャーナリスト・ドキュメンタリー写真家・映像作家。東京とジャカルタを拠点に家族やコミュニティ、子どもたちを取材。多くの人々に援助の手を差し伸べるパンクバンドの長編ドキュメンタリー映画制作を始めて15年、シリーズ化して更新中。同作品は日本、インドネシア、ドイツ、イタリアなどで公開されている。