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車界の“誠意”大将軍

世のオトーサンのなかには、「ウチの娘は、ああいう青年と結婚してほしい」みたいなことを言う人がいます。スバルの新型インプレッサは、まさに「ああいう青年」みたいな車だった。

まず第一に流行りのSUVではなく、合理的なハッチバックというスタイルから、マジメさがひしひしと伝わってくる。

そりゃあ背の高いSUVよりハッチバックのほうが、軽いし空気抵抗も小さいから、燃費が良くなる。ガソリン価格の高騰を考えても、脱炭素を考えても、大事なポイントだ。

すべてのグレードで4輪駆動を選べるのもいい。水平対向エンジンと組み合わされる独自のシンメトリカルAWDには、ゲリラ豪雨や大雪に遭遇しても「どんと来い!」と思える安心感がある。

そして極め付きが“ぶつからない車”を体現した、「アイサイト」というこれまたスバル独自の安全技術。世界に先駆けて実用化したことでノウハウが集積、作動は滑らかで信頼感がある。

しかも、マジメ一辺倒の堅物というわけではなく、スバルらしい正確な操縦性はFUN TO DRIVEだし、乗り心地も快適だ。

ハンドルを握っていると、誠実に造っていることがよ〜くわかる。車界の“誠意”大将軍なのだ。

モータージャーナリスト
サトータケシ
フリーランスのライター/エディター。夏になると、ジムニーが欲しくなるらしい。「静かな湖畔の森の木陰でコーヒーを飲みたい」というのがその理由だが、納車1年待ちで今年も断念したとか。


安定感はスゴいけど……

インプレッサというと車好きの間では“ラリーマシン”のイメージ。それと今やポルシェとスバルしか使っていない水平対向エンジンを積む。

昔からかっこいい車ではなかったことも手伝って、マニアウケするモデルであるように思う。

その最新は5ドアのハッチバックスタイルに絞った。この形、スバル好きには好評らしいが、正直言ってあまりピンとこない。

トヨタやマツダがデザインの個性で勝負し始めているというのに、こんなにもフツーでよかったのかと心配になる。もっとも、コンサバなユーザーのほうが世間には多いので、かえって好まれるかも。

ただ、乗ってみれば予想を超えた良い仕上がりで驚いた。ボディのしっかり感は日本車離れしていて、高速道路を走っているとその安定感とスムーズな走りには感心することしきり。

自慢のパワートレーンによるドライブフィールもハイブリッドとの連携で随分と良くなった。

CVTそのもののまずい存在感を打ち消せている。残念なことに燃費が思ったほど伸びない。原因はさまざま考えられるが、少し跳ねるような感覚の乗り心地も惜しい。

燃費性能で頭を悩ませた結果、一般道でのしなやかな走りが失われたのだと思う。

モータージャーナリスト
西川 淳
フリーランスの自動車“趣味”ライター。得意分野は、スーパースポーツ、クラシック&ヴィンテージといった趣味車。所有する愛車もフィアット500(古くて可愛いやつ)やロータス エランなど趣味三昧。


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