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多様性社会が生んだ弊害!?

堂々と掲示された球技禁止の看板。都市部の公園ではあらゆるところで見られるが、楽しく遊んでいる子どもの姿を見ると、本当に正しい対策なのか疑問に思わざるをえない。

堂々と掲示された球技禁止の看板。都市部の公園ではあらゆるところで見られるが、楽しく遊んでいる子どもの姿を見ると、本当に正しい対策なのか疑問に思わざるをえない。


こういった社会の対応と愛好者の相反する声を聞くと、「なぜこうなってしまったのだろう」と思うのだが、根本を探ると、やはり愛好者と世間の「コミュニケーション不足」が原因である気がしてならない。

五輪以前までスケートボードは、特にマイノリティな存在であったため、それまでに歩んできた道が、愛好者と社会で水と油のような関係だったのだろう。双方が歩み寄り、話し合う機会のないまま、迷惑だと感じた人から管理者側へ苦情の連絡が入り、その対応に追われた結果ではないだろうか。

ただ、今やこのような禁止看板はスケートボードだけに限らず、ボール遊び禁止、大声禁止、飲食禁止などなど、都市部の公園では、禁止看板がないところを探すほうが難しいだろう。

そしてこういった禁止看板の多さは、地域のコミュニケーション不足を示すバロメーターになっているのだという。重要なのは住民同士の対話による合意形成。最近ではもっと住民を巻き込んだ公園運営を考えては!? という声も上がり始めている。

「カルチャー」を伝える動き

©Rakuten Sports

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5月に開催された「UP RISING TOKYO」。このふたつのセクションは実在するスポットを再現したものだった。 ©Rakuten Sports

5月に開催された「UP RISING TOKYO」。このふたつのセクションは実在するスポットを再現したものだった。 ©Rakuten Sports


そのような事情も相まって、スケートボードの世界でもスポーツだけでなはなく、「カルチャー」の側面を理解してもらう動きが多方面で始まっている。

そのひとつの例として、5月に開催された「UP RISING TOKYO」という世界大会を見てみよう。
このイベントは、直前まで「スポーツ」と「カルチャー」のふたつをどうクリエイティブしていくかが最も大きな焦点となっていたのだが、そこで出した答えのひとつが「実在するストリートスポットを再現」することだった。

©Rakuten Sports

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それがこれらのセクション(障害物)になるのだが、実はLAにあるハリウッドハイスクールの手すりと、SFのクリッパー通りにあるジェームス・リック・ミドルスクールにあるハバ(階段脇の下った縁石)を再現したものなのだ。

そしてこの3段+3段の階段は新宿某所に実在しているものをオマージュしている。

もちろんこれらは、愛好者からすれば多くの人が知る有名な場所。

「あそこで誰々が何々の技を成功させた」その技の難易度が高ければ高いほど多くの人の話題となり、同時に成功させた人は尊敬を集めるようになる。すると今度はそれに触発された別の人物が現地に赴き、さらにその上をいく技を成功させようとチャレンジする。そうやってストリート特有の文化は育まれてきた。

こういったところで、社会的には競技会に括られるコンテストの中にも、スケートボード特有の「カルチャー」要素を詰めこんでいるのだ。

「UP RISING TOKYO」をオーガナイズしていたMILLENNIAL EVENTSのハスさん。練習日に彼が多くのメディアにカルチャーとしてのスケートボードを伝えていた ©Rakuten Sports

「UP RISING TOKYO」をオーガナイズしていたMILLENNIAL EVENTSのハスさん。練習日に彼が多くのメディアにカルチャーとしてのスケートボードを伝えていた ©Rakuten Sports


ただ、それらは事前に説明がなければ、一般で気付く人は皆無だろう。

だからこそ運営側は、練習日に多くのメディアを招き、スケートボードのカルチャーや本質について説明する時間を設けていた。

実際に記者会見では、選手達もことあるごとに実在するスポットを模したセクションで滑れること喜びを語っていたが、この部分をピックアップしたメディアは、自分の知る限りひとつもなかった。

やはりまだまだ双方が理解し合うのには時間がかかるのだろう。ただこういった動きはストリートへの規制が強まれば強まるほど、盛んになっていくのではないかと思う。


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