「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは…… 本日の相談者:不動産営業職・42歳「職場でアンコンシャスバイアス(無自覚な偏見)の研修が導入され、全社員がeラーニングで学んでいます。表立ったハラスメントは減ったと思いますが、オフの飲み会になると『なんでもダイバーシティとか言われても息苦しいだけ』『体育会系のウチの社風には合わない』などの愚痴をよく聞きます。
これでは根本的にアンコンシャスバイアスがなくならないと危惧していますが、上司としてどう対応すればよいでしょうか」。
アドバイスしてくれるのは…… そわっち(曽和利光さん)1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。
これは「アンコンシャス」ではありません
そもそもの話ですが、「アンコンシャスバイアス」とは文字通り「無意識」にしてしまっている言動に含まれている偏見のことです。
ご質問のように、オフの飲み会で異論が出ているという状態は、まったく「アンコンシャス」ではなく、明確に意識して発している意見であり、「アンコンシャスバイアス」ではありません。
現在、いろいろなところでアンコンシャスバイアスが問題になっているのは、意識的にはそんなつもりはないのに、つい人を傷つけたり、悪影響を与えたりする言動をしてしまうということです。
ですから、こんなに明確に意識した発言の対応であれば、事は簡単です。
異議があるなら反論せよ、でおしまい
アンコンシャスバイアスを減らすという会社の方針に対して、明確に意識的に異論を唱えている人への対応は、単に「注意をすること」と「説明をすること」だけです。
飲み会であろうと仕事場であろうと、会社の方針に対して異を唱えているのであれば、「そんなことを言ってはダメだ」「会社の方針に従うように」「なぜならば、これこれこういう理由だから」と、ストレートに言えばよいだけ。
もちろん議論を封じるということではありません。異議があるなら愚痴でなく、ちゃんと論拠に基づく反論をせよと要望しましょう。
それでも従えないなら退出するしかない
別にこれはアンコンシャスバイアスだけではなく、会社の方針への異論への対応はすべてそういうものでしょう。
組織のメンバーが全員同じ意見になることなどありえません。しかし、組織の方針はひとつに定めなければならないため、そこに異議があるのはふつうのことです。
そして、組織の方針に異議があったとしても、議論を尽くして決まったことには従うのが組織人です。極端な話に聞こえるかもしれませんが、それでも従えなければその組織から退出するしかありません。
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