「Camp Gear Note」とは…… 今や週末ともなれば、どこのキャンプ場も満員御礼。そんな混雑を避けたい耳の早いキャンパーたちがいま目をつけているのが「ハンモック」だ。
ハンモックは木の間に設置する道具なので、大型テントを立てられないような樹林の中に張ることができる。しかも、不整地の地面や斜面でも問題なし。
テントや車で混雑したエリアを避けて、静かなキャンプを楽しむことができるのである。
最近は全国に次々とハンモックカフェがオープンしたり、八ヶ岳の山中に日本初となるハンモック場の整備が進められているなど、なにかとハンモック界隈が騒がしい。
そんな今、注目のアウトドアギア「ハンモック」について、タイプによる特徴やサイズ選びの基礎知識を学んでいこう。
ハンモック本体の主な種類は3つ
ハンモックは、体を支える部分(本体)と、木などの支点と本体を繋げる部分(ストラップ、サスペンション)の2つのパーツだけで構成される非常にシンプルな道具であるがゆえに、ほとんどのハンモックは同じ形をしている。
それが「ギャザーエンド」と呼ばれる形状で、その名の通り、長方形の布の両端を、それぞれ束ねただけのシンプルな形のハンモックだ。
ギャザーエンドの中にも、さらに代表的な3つの種類がある。ここからは、バリ島生まれの注目ハンモックブランド「Ticket to the moon(TTTM)」の最新モデルを参考例に、それぞれの特徴について解説してみよう。
①もっともベーシックな「オープンタイプ」
「ライテストハンモック」重量228g、長さ300cm、幅140cm、耐荷重150kg、1万340円(2024年春 予価)/TTTM
ギャザーエンドタイプの中でも、もっともシンプルで一般的なのが「オープンタイプ」。みなさんがハンモックと言われて思い浮かべるであろう基本形で、現在アウトドア用に流通している製品の大半がこのタイプに属する。
束ねた両端にロープやカラビナを通し、連結用ストラップを接続できるようにしたもので、シンプルな構造であるがゆえに、軽さや丈夫さなど製品の特徴は使用される素材によるところが大きいタイプと言える。
②虫除け一体型の「バグネットタイプ」
「ライテストハンモックプロ」重量590g、長さ310cm、幅140cm、耐荷重100kg、1万9800円(2024年春 予価)/TTTM
2つ目は、オープンタイプの上面に虫除け用のネットが付いている「バグネットタイプ」。
ハンモックに網戸が付いているような形状をイメージしてもらうと、わかりやすいだろう。乗り込むときは、サイドのジッパーを開けて隙間から中に潜り込む。
タープとの組み合わせで、よりプライベート感を高めることができる。
ネットは本体と一体になっているので、その分、シンプルなオープンタイプよりも少々重たい。主に夏に活躍するものだが、薄いネットはハンモックの中と外界を緩やかに遮断してくれるので、混雑したキャンプ場でセミプライベートな空間を作るのにも役立つ。
オープンタイプに組み合わせて使うタイプの蚊帳もあるので、汎用性の高さを求めるならそちらの組み合わせを選ぶのも手だ。
③寒い時期に有効な「ダブルレイヤータイプ」
「マットハンモックオリジナル」1万3200円(2024年春 予価) 重量620g/長さ310cm/幅170cm/耐荷重450kg。
3つ目は、生地が2重構造になっている「ダブルレイヤータイプ」。
寒い時季は背面の冷え対策としてマットや断熱材をハンモックの上に敷くのだが、置いただけでは寝ている間にズレてしまうことがある。そこで、2枚の生地の隙間にスリーピングマットなどの断熱材を挟み込み、ズレにくいような構造にしたのがこのタイプだ。
2重の生地の間にマットを挟み込み、背面の断熱性を高める仕組み。
2重生地が背面を虫刺されから守ってくれる役目もあるので、この形状を採用する熱帯地域向けのモデルも多い。
生地が2重な分、やはり重量と収納サイズはオープンタイプよりも多少嵩張る。
生地は軽量で丈夫な化学繊維が主流
基本的にハンモックの生地に夏用、冬用はなく、オールシーズン対応。
ハンモックに馴染みのない方は網目状のハンモックを想像しがちだが、近年のモデルのほとんどは化学繊維の生地を使うのが主流となっている。
綿や麻など自然素材の製品もなくはないが、アウトドアで使うならば、軽量で丈夫、かつ乾きが早くて紫外線耐性も高いナイロンやポリエステルの生地のものが有用だ。
重さや大きさはピンキリ。こんなに小さく収まるモデルもある。
価格は生地の質が関係し、軽さや収納サイズのコンパクトさとも比例することが多い。質感や肌触り、寝心地の良さは個人の好みによるところが大きいので、実物に触れてみたり、可能であれば実際に寝転がって試してみるといい。
極端に軽量なモデルでなければ気にする必要はないが、耐荷重表記を参考にするならば、自身の体重の1.5倍以上を目安にしよう。
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