英国老舗ブランド、バブアーとは?
バブアーは1894年創業のワークウェアブランド。オイル加工を施した生地(ワックスコットン)を用いた防水ジャケットが有名で、その高い防水性能がフィールドワーカーから高く評価されてきた。
また、第一次、第二次世界大戦中にイギリス軍の兵士が着用したこともあり、バブアーの名はイギリス中に知れ渡ることに。
その品質が高く評価され、ロイヤル・ワラント(イギリス王室御用達)の称号も獲得している。
ロイヤル・ワラントが認定されるには厳格な審査をクリアしなければならない。それを、一時は3つも得ていた事実こそ、バブアーのアイテムがいかに優れているかを証明しているといえよう。
【写真10枚】「バブアー「ビューフォート」が長く愛されるワケ」を写真でチェック 「ビューフォート」の特徴・人気の理由
「ビューフォート」は元々狩猟用に開発されたアウター。そもそもイギリスでは、狩猟時にもツイードのジャケットやベストで正装することが多かった。そのため、ビューフォートはジャケットの上から着用することを考慮し着丈をやや長めに設定している。
さらには、厳しい自然条件をものともしない素材、狩猟に適したディテール、コーディネイトしやすいデザイン性も魅力として挙げられる。
防水性・保温性がある
雨が多く、気温も低いイギリスの山間部での狩猟には、防水性・保温性に優れたアウターは必須だ。
ビューフォートは優れた防水効果を発揮するワックスコットンを使用しているうえ、裏地にはタータンチェックのコットン生地が縫い付けられているため温かさと心地よい肌触りも得られる。
さらに、ライナーやフード付きのもの選べば保温効果は格段にアップする。
丈夫で耐久性がある
コットンにオイル加工を施したバブアー自慢のワックスコットンは、イギリスのフィールドワーカー達がこぞって着用してきただけあり耐久性は抜群。
なにせ、第一次、第二次世界大戦中は過酷な戦場で兵士が着ていたほどである。また、経年変化による表情の移り変わりを楽しむことができるのもビューフォートの魅力。
ちなみに、長く着続けるとオイルが抜けていくが、専用オイルで補充すればさらに長く着続けることができる。
他の服に合わせやすいデザイン
ビューフォートはシンプルながら風格たっぷりのクラシカルな印象を与えるので、さまざまな装いに合わせやすい。
中に着たジャケットの裾が隠れるミドル丈により、ブレザーやツイードジャケット、セットアップスーツの上に羽織ることもできる。
また、通常のレギュラーフィットに加え、細身に改良したモデルも展開しているのでそちらもぜひ注目したい。
さまざまなシーンで活用できる
狩猟用アウターとして誕生した背景がありながら、シンプルかつクラシカルなデザインが人気のビューフォート。そのため、アウトドアフィールドから街中まで活用の幅は実に広い。
しかも、ジャケットの裾が隠れる着丈はビジネスシーンにおいても有用だ。
袖を通す際にチラリとのぞくタータンチェックの裏地は、あらゆるシーンおいて着こなしのさりげないアクセントに貢献する。
ビデイルとビューフォートの違い
バブアーのラインナップの中でもビューフォートと並びひときわ人気が高いのが、1980年に誕生した「ビデイル」だ。
乗馬というハードなスポーツを快適にこなすためのアウターとして生まれたビデイルは、それを可能にする優れた機能性と完成されたデザインによりブランドのマスターピース的ポジションを確立している。
同じフィールドワークアウターとして人気を分けるビューフォートとは、たしかに機能面などにおいて共通するところはあるが、素材やデザイン、使い方など異なる部分も多い。
もともとの使用用途の違い
乗馬用ジャケットのビデイルは、馬に跨ったときの動きやすさに重点を置いている。すなわち、やや短めの着丈と背中側の裾に付いたベント(サイドベンツ)によって、ライディング中の動きを妨げないように仕上げられているのだ。
一方、ハンティングジャケットのビューフォートは中に着込むジャケットの裾を隠すためミドル丈に設定。腰回りをしっかり保温するノーベントを採用している。
素材やディテールの違い
ビデイルもビューフォートも同じ6オンスのワックスコットンを使用しているが、ディテールの素材とその使われ方が異なる。
例えば袖口。ビデイルの袖はライディング時の風の侵入を防ぐため厚手のリブニットになっているが、ビューフォートはシンプルなナイロン素材。狩猟の際、中にジャケットなどを着込むため袖が干渉しないようにとの配慮からだ。
同じビューフォートでも通常のレギュラーフィットでは袖に面テープを採用。スリムフィットモデルはスナップボタンで止める仕様になっている。
デザインの違い
さらに、デザインをチェックすると明確な違いが見えてくる。
着丈はビデイルがショート丈、ビューフォートはミドル丈で、その差は約5cm。また、ビデイルがサイドベンツでビューフォートがノーベンツであることも比較的わかりやすい相違点だ。
そのほか、ビデイルには右胸内側にポケットがあるのに対し、ビューフォートには背中に大きなゲームポケット(狩猟時に仕留めた獲物を入れるため)がある。
さらに、タータンチェックの裏地はビデイルが腰上まであしらわれているのに対し、ビューフォートは全面に施されているものが多い。
まとめ
過酷な自然の中で行うハンティング出自のアウターとして耐久性・機能性を備えたビューフォート。アウトドアシーンではもちろんだが、カジュアルでもビジネスでも活用できる優れたアウターである。
いつものファッションコーディネイトに、アウトドア的要素と英国のノーブルさを加えてみたいときには、ぜひともこのビューフォートを試していただきたい。