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2023.07.22

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蕎麦屋なのにラーメンが格別! 昭和54年創業「ほそ島や」を渡辺真史が探訪

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

この記事は、オーシャンズ8月号から抜粋しています。すべての特集は本誌で
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千駄ヶ谷の将棋会館近くのなだらかな坂道。その途中に、一軒の古い蕎麦店がある。「ほそ島や」。2代目店主の細矢真吾さんに話を聞いた。

渡辺 店は何年目でしたっけ?

細矢 昭和54年創業ですから、45年目ですね。代々木上原からここに引っ越したタイミングで、酒場をやっていた両親が蕎麦店を始めました。

渡辺 今ではアパレルのイメージが強いこのエリアですが、当時はどんな環境だったのでしょう?

細矢 今ほどアパレルや事務所はなかったです。原宿に続く道は歩行者天国で、精肉店や青果店などが連なる賑やかな商店街でした。

渡辺 なるほど。周りが変化していくぶん、昔ながらの街の蕎麦店がより貴重に見えました。

細矢 場所柄、将棋会館やアパレル関係の常連客など、おかげさまで、多くの方が食べに来てくれています。ここで店を続けているからこそ、そのつながりを大切にしています。



渡辺 ここは蕎麦やカレーもいいのだけれど、ラーメンが格別。この味はひと言じゃとても言い表せない。普通っぽいのにクセになる。コクがあって、作り方や材料を深読みしたくなる味。そもそもは訓ちゃん(野村訓市)に教えてもらったんですよ。「蕎麦店なのに、ラーメンがマジでうまい」って。

細矢 隠し味などは特になく、鶏ガラで出汁をとる、普通のラーメンですよ。訓市さんは、最近はラーメンの麺を蕎麦に替えて注文されます。

渡辺 そんなメニューもあるんですね(笑)。食べてみたいな。ちなみに、店でラーメンを出したきっかけは?

細矢 僕が小さい頃、父に「ラーメンもやれば?」って言ったらしいんです。全然覚えていないのですが。

渡辺 その地元感、家族感がいいなあ。こういう店が東京にあるということ自体が、すごく誇らしくて格好いいことだと思います。

細矢 今では幸いなことに別の場所での出店依頼をいただくのですが、それは違うと思いました。親父が作ってきた味を変えず、この場所で店を続けることに意味があります。

渡辺 素敵です。昼時には、行列ができるという特別感もある。ラーメンはすぐ売り切れてしまいますよね。

細矢 夜は少し暇です。でもずっと忙しいと疲れてしまうので、今くらいがちょうどいいのかもしれません。

渡辺 お身体にお気をつけて、ぜひ店を長く続けてください。そうだ、店名の読み方は「ほそじまや」でしたっけ? それとも「ほそしまや」?

細矢 おそらく「じま」ですが、どちらでも。呼びやすいほうで(笑)。

——しなやかに、長く、変わらず。趣深き蕎麦店の妙味は、これからも受け継がれていく。

河村隆一さんの「ほそ島や」探訪記はコチラ





ほそ島や
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷2-29-8
電話番号:03-3404-0921
営業:11:30〜15:00、18:00〜20:30(土曜は14:30まで)
定休:日曜・祝日


若木信吾=写真 増山直樹=文

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