▶︎すべての写真を見る 投資と聞いて最初に思い浮かぶのが、株や投資信託だろう。
テレビや雑誌でも「新NISA」や「IDeCo」などが、しょっちゅう特集されているし、周りのみんなが始めているからと焦っている人もいるのではないだろうか。
そこで今回は、株と保険で失敗した経験を糧に、お金について学び直し、証券アナリストの資格を取得した清川英哲さんが登場。自らの失敗から、お金の初心者が陥りがちな失敗について教えてもらった。
話を聞いたのは……
清川英哲さん(45歳)●公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー・宅建・証券アナリストの資格を持つ。クレジット会社の営業、KPMGあずさ監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年独立し、「FPアートリエール 清川英哲 公認会計士・税理士 事務所」を立ち上げる。ライフプランニングや資産運用などの個別相談のほか、セミナーなども行う。
軽い気持ちで始めた株式投資で300万円の損失
当時、ベンチャー企業に勤めていた清川さんが、初めて株式投資をしたのは31歳のとき。
そこからわずか2年ほどで、なんと300万円もの損失を出した。とはいえ、当初は株で儲けるつもりなんて、全然なかったという。
「なんとなく株式投資って面白そうだなと思って。それに、“株やってる”って格好良くないですか(笑)? 当時はそこそこ貯金もあったし、やってもいいかなって軽い気持ちでした」(清川英哲さん、以下同)。
そんなときに勤務先に現れたのが、証券会社の若者だった。いわゆる飛び込み営業である。
「ちょうどいいタイミングだと思って、彼の話を聞いてみたんです。株で稼ぐつもりはなかったので、株主優待目当てで『何か面白い株があったら持ってきて。100万円ぐらいなら投資してみてもいいよ』って言ったんです」。
再び証券会社の若者と会って提案された株価は、これから伸びそうな銘柄、つまり株価が下がった「割安株」だった。「これなら買ってみようかな」と軽い気持ちで清川さんは、彼の推す株を購入した。
ところが、買って間もなく株価は下落。
「これが見事に落ちるんですよ。株って10%ぐらいは簡単に落ちるのですが、落ちたものはなかなか上がらない。下がるときは早いのに、上がるときは鈍いんです」。
これはダメだとすぐに見切りをつけた清川さんは、その株を売却し、損切りした。
この損失分を取り戻すべく、次に買ったのは、東日本大震災による福島原発の事故で、株価が大暴落していた東京電力だった。
「『清川さん、今が買いですよ!』って、別の証券会社の営業さんが言うので、慌てて買ったら、さらに下がってしまったんです。結局、買った値段の1/3ぐらいになりましたね……」。
そこで清川さんはこれも売却。懲りずに「別の株はない?」と問い合わせて買ったのが、ちょうど株価が下がっていた三洋電機だった。
ところが、これも購入後に株価が下落。少し待つと徐々に値段が上がり始め、ようやく回復の兆しが見えたと思ったタイミングで、なんと三洋電機がパナソニックに買収されたのだ。
「そのときに買った株価+5円とか10円とかで買取となりました。売っても赤字なんだけど、持っていても先はない。だから泣く泣く売りました」。
一方で利益を上げた銘柄もあった。
「半導体の会社です。なぜかある日、急に株価が上がったので、これはチャンスだと売ったんです。結果、1株約6万円の利益確定になりました」。
実はその会社は、清川さんが株を売った1カ月後に倒産する。倒産後の株価は1株2円。売るタイミングを見逃していたら、株は紙クズ同然になっていたのだ。
「その株に僕は100万円ぐらい注ぎ込んでいましたから。株の恐ろしさを改めて知りましたね」。
ここで清川さんは、ようやく自分に株投資は向いていないと気づき、株から離れることを決断した。
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