▶︎すべての画像を見る 靴、特に革靴のサイズ選びで失敗した経験のある人が、最近ますます増えているようだ。
ただ、「失敗した……」と思えるのは実はまだマシなほう。
例えば、試着せずにオンラインショッピングした結果、靴の本来のジャストフィットにはほど遠いサイズのものを選んだこと自体に気付かず履いている人も、どうやら少なくないらしい。
そんなトラブルを防ぐべく、今回はレザーサンダルで有名な「
ビルケンシュトック」を訪問。
同社・原宿コンセプトストアで、定番モデルの「アリゾナ」「チューリッヒ」「キョウト」「ボストン」、そして「ロンドン」の特徴やサイズ感など、購入時に役立つ基礎知識をご教授いただいた。
ビルケンシュトックの歴史と人気の秘訣
ブランドの歴史を1774年、今日のドイツ中西部・ヘッセン州にまで遡ることのできるビルケンシュトック。
19世紀末には、靴の中に挿入する柔軟なフットベッド(インソール)をはじめて開発・販売し、その後も “自然な歩行“を促すという全く新しいアイディアを実現させるために開発を続けた。
そして、同社を一躍有名にしたのが、そのノウハウを応用し、1963年に登場したレザーサンダルだろう。
従来の靴にはないルックスと快適性で、1970年代以降、世界的な人気を獲得し、まさに今日の立ち位置を築いたわけだ。
そんなビルケンシュトックのサンダルの特徴も、やはりフットベッドに尽きる。
足の形状と動きを徹底的に考え抜いた立体的なアーチ構造だけでなく、素材使いにも一日の長があるからだ。
軽さとクッション性を探究したコルクと天然ゴム=ラテックス混合のフットベッド、柔軟性・保形性の双方に優れたジュートの層、そして足底に優しくフィットするスエードライニング……。
そう、いずれも持続可能な原材料から採れる天然素材で、環境への配慮を半世紀以上前から実践していたのである。
「コンフォートシューズ的な発想で買われるお客様と、ファッション感覚で買われるお客様の双方がいらっしゃるのが、ほかの靴ブランドにはないユニークな点ですね」(原宿コンセプトストア、以下同)。
たしかに、どちらの側の欲求にも高度に応えてくれる、ある種の懐の深さが人気の秘訣なのだろう。
ちょっとだけ特殊な、ビルケンシュトックのサイズ表記
ビルケンシュトック原宿コンセプトストアに飾られたビッグサイズのフットベッド。なんとサイズは315(日本サイズ2100)!
ドイツの靴メーカーなので、
ビルケンシュトックは「ヨーロッパサイズ」が大きさの基準だ。
日本では、これを「日本サイズ表記」に便宜的に置き換えて販売している。どちらも製品ではライニング表面の左側に、ヨーロッパサイズ(上)、日本サイズ(下)を記載しているのでご存じの方も多いだろう。
具体的には、「ヨーロッパサイズの40」は「日本サイズの26.0相当」。
ただし、注意したいのは、ビルケンシュトックではこの「ヨーロッパサイズ」は1.0ピッチ設定、つまり
「39.5」のようなハーフサイズが用意されていない点である。
「39」の上が「40」その上が「41」となる。そして、
同社の公式見解は、具体的には上記の表のとおり。
そう、対応する日本サイズは1.0ピッチだったり0.5ピッチだったりと、不規則に変換しているのだ。
これは、
・ヨーロッパサイズ(UKもUSも):製造時に用いる「木型の大きさ」を示している ・日本サイズ:実際に靴を履く「人の足長」を示している という、決定的かつ永遠に交わらない
「基準の原点の違い」に起因する。
だから、日本サイズとして考えるのは、あくまで目安に過ぎない。
ちなみに、日本サイズ25.5や27.5のようなヨーロッパサイズの空白区の足の持ち主には、0.5上、具体的には25.5の人には26.0=ヨーロッパサイズ40を、27.5の人には28.0=同43を選ぶのが、一応の目安となる。
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