▶︎すべての写真を見る 革靴のサイズ選びで失敗した経験がある人は多いはずだ。
特に最近は、試着しないままスニーカー感覚でオンラインショッピングした結果、革靴本来のジャストフィットから離れてしまっている人が増えているらしい。
そんな失敗を防ぐべく、今回は
ティンバーランドを訪問。プレスの大木 文太さんから、定番モデルの
「6 インチ ブーツ(イエローブーツ)」「フィールドブーツ」「スリーアイ クラシックラグ」の特徴やサイズ感、お手入れ方法など、オンライン購入時に役立つ基礎知識をとことん教わった。
ティンバーランドの歴史と人気の理由
ティンバーランドのプレス・大木 文太さん。
ストリートで大人気のティンバーランドだが、その起源はマサチューセッツ州ボストンの靴メーカー「アビントンシューカンパニー」。現在のウクライナ・オデーサで代々靴職人の家系に生まれ、若くしてアメリカに移住したネイサン・シュワルツ氏が1952年に買収した。
1969年には北隣のニューハンプシャー州に拠点を移し、1978年に現在の社名、つまり同社のロゴマークさながらの
「樹木の国」を意味するティンバーランドに変更した。
’70年代から’80年代にかけては、今なお愛される大定番ブーツを数多く生み出し、その評判はワールドワイドに。’90年代以降はイエローブーツがヒップホップカルチャーのアイコンとなるなど、ジャンルを超えた人気を獲得した。
近年もSupreme(シュプリーム)やBee Line、ワコマリアなどとコラボするなど、ストリートブランドからの支持も絶大である。
「ワークにしてもヒップホップカルチャーにしても、単にカッコいいだけでなく靴という『足を守るギアとしての堅牢さ』があるからこそ、高い支持を得続けているんです」(大木さん、以下カッコ内同)。
ティンバーランドのサイズ感って?
実際に足を通す前に、
ティンバーランドの「日本サイズ」は、基本的に「USサイズ」を置き換えたものであることは知っておきたい。具体的には「US9」が「日本の27.0相当」となる。
ちなみに同社の
レディスは、USの“レディス”サイズを基準にしている。具体的には
「USレディス7」が「日本のレディス24.0相当」だ。同じUSサイズの数値でもメンズとレディスではスケールが異なるので、この点は注意しておこう。
また、日本で展開しているものは、
メンズ・レディスともに足囲(ワイズ)がW(やや太め)である点も覚えておきたい。ただし一部のモデルについては、
M(標準)の足囲で展開しているものもある。
スニーカーとサイズ感が違うのはなぜ?
大木さんによれば、ティンバーランドのシューズは基本的には
「スニーカーサイズの0.5~1.0下」をおすすめしているようだ。
これは革靴であれスニーカーであれ、
USサイズの数字は「足の大きさ」ではなく、単に「木型の大きさ」を示しているからだ。そのため、同一のサイズ表記でも実際の靴の大きさはメーカーごとにバラバラ。さらにはそれを日本サイズに置き換えているわけだから、サイズのずれが生じるのである。
例えば、ナイキ(NIKE)やヴァンズ(VANS)で日本サイズ26.0(US8)をデカ履きではなくジャストで履く人なら、ティンバーランドでは日本サイズ25.5(US7.5)もしくは25.0(US7)となる場合が多いそうだ。
3つの定番モデルをスニーカーサイズと比較
それではティンバーランドを代表する3モデルを、サイズ感やお手入れの方法なども含めてご紹介していこう。
ティンバーランドの定番人気モデル①
「6 インチ ブーツ(イエローブーツ)」
「6 inch boots」2万8600円/ティンバーランド(ティンバーランド/VF ジャパン 0120-953-844)
代表色のウィート(Wheat=小麦の穂の色)からイメージする、通称「イエローブーツ」。アッパーは防水加工を施したヌバックで、1973年の発売時には調達できる色がウィートのみでやむなく用いたという逸話は、ブーツ好きには有名だ。
開発時のメインターゲットは、東海岸の森林・湿地で働くワーカーやハンター。そのため、防水性や防汚・撥油性に優れるだけでなく、保温性やソールのグリップ力も抜群だ。
「タフで疲れにくいブーツ」としての評価は、やがて若い世代を中心にストリートシーンでも定着し、支持を広げていった。
イエローブーツは、スニーカーより0.5〜1.0サイズ下がおすすめ!
VANSのスニーカーは27.0(US9)、6 インチ ブーツは27.0(US9W)
大木さんによると、イエローブーツは冒頭で挙げたティンバーランドの標準的なサイズ選び(つまり0.5〜1.0サイズダウン)が素直に当てはまるそう。
例えば、VANSのスニーカーを日本サイズ26.0(US8)ジャストで履く大木さんは、イエローブーツは日本サイズ25.5=US7.5Wを愛用している。
「ただし、カルチャー的に『デカ履き』をしたい場合は、あくまで自己責任ですがスニーカーと同じ日本サイズもアリと言えばアリです。特にイエローブーツは足首も靴紐で固定できるので、やや大きめを履いてもそこまで違和感はないかもしれません」。
写真は27.0(US9W)を使用。ソールの全長30.7cm、ワイズ31.2cm(編集部調べ)
【6 インチ ブーツ(イエローブーツ)のサイズ展開】
メンズ:
日本サイズ24.5(US6.5)~31.0(US13)。ハーフサイズピッチだが、日本サイズ29.5(US11.5)と30.5(US12.5)はなし。足囲はW。
レディス:
日本サイズ22.0(US5)~26.0(US9)。ハーフサイズピッチ。足囲はW。
【お手入れ方法】
多少の汚れは消しゴムで落とせる! 防水性に優れるヌバック
イエローブーツの素材はヌバック(起毛させた革)なので、
基本のお手入れはブラッシングとスエード専用スプレーや撥水スプレーで十分。汚れた場合は
スエード専用のシャンプーを用いても良いが、大木さんは少々の汚れであれば
「消しゴム」を活用するらしい。
「そもそもアッパーが防水性に優れる=汚れに強いですし、たとえ汚れてしまっても起毛の表面にのみ付着しているケースが大半なので、これで鉛筆の線を消す要領で結構落とせますよ。だまされたと思ってお試しを」。
ティンバーランドの定番人気モデル②
「フィールドブーツ」
「Field Boots」1万9800円/ティンバーランド(ティンバーランド/VF ジャパン 0120-953-844)
欧米で従来よりもライトユースなハイキングブーツが注目され始めた1983年に発売されたフィールドブーツ。
スニーカーと同様の軽量ソールを搭載し、アッパーを「ウォータープルーフヌバック」と「オリジナルメンブレン」の異素材コンビにしたのがポイントで、発売当初から人気となった。
イエローブーツと同じく、'90年代にヒップホップカルチャーへと活動の場を広げた一足である。
今回モデルとして用いたブーツはビームスが十数年ぶりに別注を掛けた復刻モデル。ブラウンとグリーンの配色は、アメリカのチャイナタウンの定番フードメニュー「ビーフ&ブロッコリー」を想起させ、「ビーブロ」の愛称で親しまれた。
フィールドブーツは、スニーカーと同サイズがフィットする!
VANSのスニーカーは27.0(US9)、フィールドブーツは27.0(US9W)
大木さんによると、フィールドブーツは普段履いているスニーカーと同じサイズがフィットするとのこと。VANSで日本サイズ26.0(US8)をジャストで履く大木さんは、こちらも同じく日本サイズ26.0=US8Mを愛用している。
ちなみに、すでにイエローブーツをジャストサイズで愛用している場合は、そのサイズより0.5上げた方が無難とのこと。
「
フィールドブーツは足囲がM(標準)で、イエローブーツの足囲W(やや太め)と比べるとやや細身になっています。なので、同じサイズだと甲を中心にタイトフィットと言うか、圧迫感を受ける方が多いかもしれません。ハーフサイズ上げればそれも解消して、イエローブーツと同様のフィット感が得られるはずです」。
写真は27.0(US9W)を使用。ソールの全長29.8cm、ワイズ30.4cm(編集部調べ)
【フィールドブーツのサイズ展開】
日本サイズ25.0(USメンズ7)~30.0(US12)。ハーフサイズピッチ。足囲はM(Medium Girth)=標準。
※メンズのみの商品。
【お手入れ方法】
革と布の異素材コンビは撥水スプレーで汚れ対策を!
アッパーが異素材コンビとなっているフィールドブーツ。
ヌバック部分のお手入れは、
基本的にはブラッシングとスエード専用スプレーや撥水スプレーで十分で、イエローブーツと同様に少々の汚れなら消しゴムも有効だ。メンブレン=布の部分はブラッシングと、酷く汚れた場合は水洗いも要する。
「撥水スプレーをブーツ全体にかけておけば、水を弾くだけでなく汚れも付きにくくなるので、革と布の異素材コンビのフィールドブーツでは断然おすすめです。できれば履きおろしの際から継続的に行ってください!」。
ティンバーランドの定番人気モデル③
「スリーアイ クラシックラグ」
「3eye classic lug」2万3100円/ティンバーランド(ティンバーランド/VF ジャパン 0120-953-844)
アッパーの前半分にグルっと施された手縫いのモカシン縫いが、ティンバーランドはアメリカの中でも東海岸出身のブランドであることを思い出させてくれる伝統的な一足。
アッパーは厚みがありながらも、しなやかなオイルドレザー。靴紐が甲だけでなく、くるぶしやかかともグルっと覆うので、「抜け」が少ないのも魅力だ。ソールもラバー製のラグソールなので悪路にも何気に強い。
1978年に発売されたこちらは、その後のプレッピーブームの中でマストアイテムとなり、日本でもバブル期の渋カジ・キレカジを代表する靴となった。今50代中盤の方にとっては、ティンバーランドといえば実はこれ!である。
スリーアイ クラシックラグは、スニーカーより1.0サイズ下が快適!
VANSのスニーカーは27.0(US9)、スリーアイ クラシックラグは27.0(US9W)
大木さんによると、
スリーアイ クラシックラグは普段のスニーカーより1.0サイズ下げた方が快適とのこと。具体的には、VANSで日本サイズ26.0(US8)をジャストで履く大木さんは、こちらは日本サイズ25.0=US7Wが好みだそう。
すでに
イエローブーツをジャストサイズで愛用している場合は、それより0.5下げるとよりフィット感が増すはずだ。
「この靴は丸めのトウシェイプとつま先の許容度が高いモカシン縫いのおかげで、足入れ感が抜群にラクです。しかもブーツと異なり履き口がくるぶしを隠しません。だから、足囲が同じW(やや太め)のイエローブーツよりハーフサイズ下げたほうが、この靴らしいフィット感を味わえます」。
写真は27.0(US9W)を使用。ソールの全長28.9cm、ワイズ28.9cm(編集部調べ)
【スリーアイ クラシックラグのサイズ展開】
メンズ:
日本サイズ24.5(USメンズ6.5)~31.0(US13)。ハーフサイズピッチだが日本サイズ30.5(US12.5)はなし。足囲はW。
レディス:
日本サイズ22.0(USレディス5)~26.0(US9)。ハーフサイズピッチ。足囲はW。
オイルドレザーは油分補給が肝心。ただし、つけすぎ注意!
スリーアイ クラシックラグの素材は、オイルドレザー。
この革のお手入れはとにかく「油」が肝心なので、例えば
ミンクオイルのような油分の多いシューケア製品を用いるのが基本。
しかし、入れ過ぎも禁物。アッパーが柔らかくなり過ぎて足元が不安定になるリスクが生じるからだ。
また、オイルドレザーは油分故に汚れも意外と付きやすいので、お手入れの前に靴専用のクリーナーで、前に入れた油分と共に汚れを取っておくことも大切だ。
「油分を入れ過ぎたと思ったら、ブラッシングと乾拭きで余分な油分を取り除いてください。ベトベトになるのは、明らかに入れ過ぎなのでご注意を。最近は街履きに適した油分が入れられるシューケア用品も多いようなので、そちらも試してみてください」。
ティンバーランドのサイズの選び方をまとめると……
ティンバーランドの代表モデルのサイズ選びについて、まとめると以下の感じになる。
・イエローブーツ:一般的なスニーカーの日本サイズの0.5〜1.0小さいサイズがおすすめ!
・フィールドブーツ:一般的なスニーカーと同じサイズがフィットする!
・スリーアイ クラシックラグ:一般的なスニーカーより1.0小さいサイズが快適! ※革靴はいずれも27(US9)サイズの場合
そして最後に大木さんはこうも付け加えてくれた。
「個々人の足の形状の違いや嗜好の違いもあるので、ここまで申し上げたことは、
あくまで目安と考えてください。特に初めてティンバーランドの靴を買われる方は、確かな性能を満喫していただきたいので、実店舗で試着して、サイズ感を確かめてからご購入いただくのをおすすめします」。
大いに参考に!