爪甲が盛り上がるのは、肺や心臓病の疑いアリ
――注意すべき爪の形はありますか? 貧血の方では、爪の両端や先端が内側にそり返った「スプーンネイル」の状態になることがあります。爪が薄くなり、割れやすくなるのも特徴です。
また「バチ指」は、肺や心臓の病気を示す代表的なものですね。
――バチ指とはどういうものでしょうか? 爪の根元あたりから爪先まで、甲が丸く盛り上がったような状態になります。また、指先の形も変形し、第一関節が丸くなります。これは血液中に酸素が足りなくなり、体の末端まで酸素が行き届いていないサインです。
酸素を取り込む肺や、全身に酸素を含んだ血液を送り出す心臓に、なんらかの病気が疑われます。
――血液の状態や酸素の量によって、爪が変形することもあるんですね……。 また糖尿病の方では血管が細くなり、爪にまで十分な栄養が行きわたりにくくなります。そのせいで
爪が割れやすい、
巻き爪になりやすい、爪そのものが白く濁るなどの症状があらわれます。そうなると爪白癬などの細菌感染症のリスクも高まるので、糖尿病の疑いがある方は、より爪を意識して生活してください。
爪が割れやすく髪が抜けやすいなら、まずは食事の改善を
©️pedro emanuel pereira/iStock
――爪にヨコ線が入ることもよくあるんですが、これも何かのサインでしょうか? 体調不良のあとに、数週間以上遅れて、爪にヨコ線があらわれることがあります。
一方、タテ線ができるのは、爪の乾燥や、ビタミン・鉄分など何かしらの栄養が不足している可能性があります。この場合は、抜け毛などが増えている状態かもしれません。
――髪が抜けることとも関係しているんですか? 爪と髪の主成分は同じ「ケラチン」で、栄養が不十分だと髪の先端まで行き届かなくなります。そのため抜け毛が増えたり、髪が細く切れやすくなるなどのトラブルが増えるんです。
――爪と髪を強くするためにはどうすればいいでしょう? ケラチンの元となるアミノ酸、亜鉛、ビタミンを積極的に摂ることが大切です。イワシやアジなどの魚介類、豆腐や納豆といったタンパク質がオススメです。
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爪の先には、たくさんのサインが溢れている。いつもの爪と違うなと感じたら、まずは皮膚科で診てもらおう。