「ととのい」知らずのフィンランド人
ただし、フィンランド人はサウナのあとに水風呂に入水するプロセスを、必ずしも必要としていない。
つまり、高温サウナから低温の水風呂をハシゴすることで得られるとされる「ととのう」感覚は、フィンランド人にとってはピンとこないものなのだ。
とはいえ、彼らも、サウナの合間に必ず屋外に出て、しばし自然の風や冷気の心地よさに身を委ねる「外気浴」の時間は大事にする。
フィンランド人は、サウナの合間に必ず屋外に出て、しばし自然の風や冷気の心地よさに身を委ねる「外気浴」の時間を大事にする(写真提供:こばやし あやなさん)
だが、フィンランド語に「ととのう」に相当するようなサウナの快楽を言い表す共通語はないし、それを必要ともしていないのだろう。
なぜなら、サウナの入浴時間やロウリュの頻度が人それぞれであるように、「サウナによって得られる心地よさもまた、人それぞれでいい」と考えているからだ。
フィンランド人が思い思いのスタイルでサウナを自由に楽しんでいる姿を見ると、われわれ日本人は、画一的なサウナの楽しみ方やそのためのマニュアルに縛られすぎているのかもしれない、と思えてくる。
「ととのう」ことにこだわりすぎて疲れている人は、一度固定観念を捨てて、フィンランド人のサウナの楽しみ方を手本にしてみてはどうだろうか。