Q:巨人さんの、走る「理由」を探し続ける姿は、壁に向かおうとしている人にとって、大きな学びに繋がると感じます。
今デビューしている子でも、やっぱり売れたい、女の子にモテたいというのがほとんどやと思う。でも、それは変わっていきますよね。偉そうに言うけど、今は後輩のためにもやってるというところもあるんです。例えば、他の仕事がありますよね、ドラマとかね。その時に絶対失敗したらあかんと。
何でかと言うたら、「漫才師でもこれだけできるよ」と。「巨人さんができるんやったら他の漫才師もできるん違うか」「ほんなら若手も仕事入るのちゃうか」と本当に思ってやってます。だから、僕らが失敗したら若手に繋がらへんと思って、僕は本当にそういう気持ちでやってますけどね。どんな仕事が来ても。
Q:THE WORDWAYは「言葉」を大切にしているメディアです。巨人さんが支えにしてきた言葉、自分の人生を作った言葉みたいなのがもしあれば教えてください。 僕が勝手に考えたんですけどね、『今日は初日やと思え』という言葉ですね。今日から初日、しんどいんですよね。でも今日から初日やと思ったら、絶対1日で辞める子はいないじゃないですか。次の日も、「今日は初日」と思って、そういう気持ちで僕はいてました。
ある日、美空ひばりさんの『今日の己に明日は勝つ』という言葉を耳にして「あ、これもすごいな」と思いましたね。今日より明日の方がもっといい人間になる、良い芸ができるようにしたいと思ってます。
Q:最後に、巨人さんの現在の目標があれば教えてください。
全然ないですね。もう何年も前から「辞めたい、辞めたい」って言ってますから。ただ、デビュー50周年の(25年)がちょうど万博に重なるので、あと2年やれたらやりたいなと思ってますけどね。
言うても、もう残り少ないじゃないですか。やりたいこともやれないじゃないですか。「やりたいこと何あんの?」って、別にないんですけどね。だから、ほんまに40、50ぐらいで辞めて、好きなことをやっていくのがいいかもわかりませんよね。
オール巨人
1951年11月16日、大阪府生まれ。1975年に漫才コンビ「オール阪神・巨人」を結成しデビュー。師匠は岡八朗。「しゃべくり漫才」スタイルで、上方漫才大賞など多数の賞を受賞。19年には吉本の漫才コンビとしては、夢路いとし・喜味こいし(1995年)、宮川大助・花子(2017年)に続く3組目の紫綬褒章を受章した。