言葉②「面白いネタができるのは、偶然じゃなくて必然。24時間考えられるかです」
Q:巨人さんは、2019年に紫綬褒章を受賞されるなど、多くの後輩芸人に影響を与えてきました。次世代に伝えていく立場として、思うことはありますか?
本当に昔と全く変わりましたからね。僕らのときは漫才師=弟子から入らないとだめだったわけで、今は学校に入ったら、それだけで自分は芸人みたいに思ってる子が多いと思うんです。デビュー当時は自分の好きなものをやってしまうんです。
でも結局、遠回りして王道のようなものに帰ってくるんです。結局、まだまだお笑いの場合は、ベタって言うんですかね。昔のお笑いそのまま使っても全然大丈夫だと思いますけどね。
Q:自分の美学を貫くだけでなく、お客さんの求めていることに答えていく意識が大事だと?
お客さん第一で考えなあかんと思いますよね、やっぱり。お客さんが笑わへんかったら、それはアウトですからね。自分がやりたいことを満足しながらやってる人も中にはいてるけれども、それは間違いやと思いますね。
Q:巨人さんはキャリアを重ねていく過程で、1回の舞台に対する考え方に変化はありましたか?
はい。でも、昔はトリを取ることがなかったですからね。前から3本目とか2本目に出てましたから、昔の方が気楽でしたね。当時は僕らも「若い女の子にウケたらええ」と思ってやってたような気がします。その時も先輩から言われたと思うんですよ。「お前、おじいちゃんおばあちゃんにウケるネタ考えなあかんがな」って。
でも「何を言うてんねん」と思ってたと思う。でも、お客さんはいろんな方が来はりますからね。だから、今はおじいちゃんおばあちゃんも、たまには子供の笑うようなネタも中に入れといてということをやって、老若男女ですか。それは笑ってもらわないとあかんと思って、それはもうトリの仕事やと思いますけどね。
Q:売れる芸人と、なかなか結果が出ない芸人の差はどこにあるのでしょうか? ネタなんですよ。絶対ネタなんです。だから、机に向かって一生懸命書けと。24時間、それこそ寝てる時まで、常にお笑いのことを考えとかなあかんのです。街を歩いてても、「どっかおもろい看板ないかな」とかね、「誰か面白い人がいてないかな」とか、絶対見とかなあかんの。
ネタを書くときに、「あ、偶然、こんなおもろいこと思いついた」って、それ偶然違うんですよ、必然なんです。ずっと考えるとそういうのが出てくるし、考えてない人間には出てこないです。
Q:自分自身には、天才的な才能はないと?
全然ないです。デビューしてグーっと上手いこといったのは、阪神くんのおかげやと思ってます。阪神くんのモノマネとか、あの大きな声出す、高い声出すキャラクターのおかげで、僕はちょっと言い方悪いけどね、猿回しの親方で阪神くんは猿やったんかなと思いますね。
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