壁のような岩を登れるのは、太いトルクと副変速機をもつ4WDシステム、そしてグリップのいいタイヤのおかげだが、「こんなカッコでこの性能なのか」と意外性が楽しくて、笑いが出た。しかし、アレン氏によると「生産は……しないかな」とのことである。
次は「ジープ・ラングラー・マグニート3.0」だ。
大径タイヤとドアのないスタイリングがユニーク(写真:Stellantisジャパン)
フル電動化はどこまでジープの可能性を拡大できるか。そんな目的で開発されたのがマグニート・シリーズで、2021年の「1.0」から、3年目の今回で「3.0」に進んだ。
シャシーは2020年の「ラングラー ルビコン」2ドアをベースに、BEVシステムを搭載。最大トルクは1220Nmと、2021年の「2.0」から20パーセント増しになっているという。
透明なボンネットから電動パワートレインが覗く(写真:Stellantisジャパン)
ドライブした感想は、「パワフルすぎる」の一言だ。ダッシュボードのスイッチで、パワーを285hpと650hpの2段階に切り替えられるが、いずにしてもアクセルペダルを強く踏み込めないほど。
「ここまでやるか」と思ったのは、6段のマニュアルギアボックスを搭載していることだ。
クラシカルなデザインのシフトノブ(筆者撮影)
岩場では3速固定で走ったが、舗装路で走ったジープのスタッフによると、ICE(内燃機関)のマニュアル車のように加速していくとき使うと楽しいそうだ。
1960年代のSFコミックスから出てきたようなスタイル。2シーター。ドアなし。巨大な40インチ径のタイヤ……。このままでは量産化は無理だろう。しかし、「おそれいりました」と思わざるをえないクルマだった。
オモチャのようでも中身は本気
「ジープ・スクランブラー392コンセプト」は、遊び感覚あふれたエクテリアの造型とカラーリングが目をひく。北米のメーカーは、こういうクルマを作らせると本当にうまい。ジープの本質的価値の1つである“遊び心”を強調したコンセプトといえる。
まさにアメリカの遊び心が体現されたスタイリング(写真:Stellantisジャパン)
搭載されているエンジンはV型8気筒で、排気量は車名のとおり392キュービックインチ。馴染みのある単位に換算すると、6.4リッターになる。
まるでオモチャのようなグリーンのカラーリングとはうらはらに、ボディの素材は軽く高剛性の(そして高価な)カーボンファイバー製。
3/5