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2023.05.08

ライフ

「どうやら孤立していそうな新入社員」。マネージャーやリーダーはどう関わるのが正解?


「モヤモヤ り〜だぁ〜ず」とは……

本日の相談者:IT関連企業・37歳
「弊社では新入社員研修が2週間あり、それを終えたら各部署に配属され、OJT(職場での実践教育)に移行します。その中で、どうも孤立していそうな新入社員がいます。

他の新人はランチを一緒に食べるなど関わろうとする姿勢が見えるのですが、ひとりであまり交わらず淡々と仕事をしている様子です。これも個人の特性やZ世代の特徴、と認めるべきでしょうか?」。
アドバイスしてくれるのは……

そわっち(曽和利光さん)
1971年生まれ。人材研究所代表取締役社長。リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスにて人事・採用部門の責任者を務めてきた、その道のプロフェッショナル。著書に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(共著・星海社新書)ほか。

「ひとりで自由に」が好きなのかも

まず、考えなければならないのは、新入社員が本当に孤立しているのか、その状態に困っているのかどうかです。ひとりでいることが好きな人はいくらでもいるので、新人自ら望んでその状態にある可能性は十分にあります。

それにもかかわらず、「孤立してかわいそうだ」と誰かと一緒にいるように仕向けたとすれば、まさに余計なお世話になってしまうかもしれません。
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「孤立」と「自由」は表面的には似ています。新入社員の気持ちを想像だけで勝手に決めつけるのではなく、本人がその状況をどう思っているのかを慎重に確かめるべきでしょう。


間接的に情報を集める


 
ただし、どストレートに「ひとりでいても寂しくないのか」などと聞くのは野暮というもの。

もし本当は寂しかったとしても、人前でそれを認めるのは辛いでしょうから「いや、特に寂しいとかはありません」と強がる可能性もあり、回答を鵜呑みにはできません。

新入社員とふたりのときに、それとなく「誰といちばんコミュニケーションを取っているの?」とか「いちばん仲のいいのは誰なの?」とか「何か困っていることはない?」とか、さまざまな聞き方で周辺から探り出すような聞き方がよいと思います。

あるいは、最も近しい人に「あの新人は孤立していないか」と観察しておいてもらうのもよいかもしれません。


必要な交流からは逃げさせない

もし、あまり困っていない、むしろひとりのほうがよいという思いが確信できたなら、ひとまずは安心です。拙速に「とにかく誰かと交流させなければ」などとは思わなくてもよいでしょう。

しかし、です。職場なのですから、本人がしたいことだけをさせておくわけにはいきません。大事な人の歓送迎会やチームビルディングのためのワークショップ、勉強になる研修会など、職場環境の向上のために必要な交流さえも避けようとするのは問題です。

そうならないように目を光らせておいて、すべき交流はすべきと、丁寧に理由を説明して納得させながらアドバイスしていく必要があります。
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ただ、孤立に悩んでいる場合も多い

しかし、新入社員が孤立しているのは自分の選択ではない場合のほうが実際には多いのではないでしょうか。

Z世代のような若者であっても、個人的な関係性を築きたいというニーズはふつうにあります。彼らはソーシャルネイティブ世代とも言われるように、つながることに対するニーズはむしろ強いくらいです。

もし、いろいろ聞き回った上で、新入社員が孤立に悩んでいるとわかった場合、周囲の社員が積極的に関わりを持とうとするよう仕向けなければなりません。

まずは、新入社員の立場に立って共感し、自然な形でコミュニケーションを図っていくことが重要です。
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コミュニケーションの多様化を

ただ、昭和・平成世代の我々のように「飲みニケーション」的な一緒にご飯を食べたり飲んだりするのが苦手な人が多いのも事実です。

そういった場合、コミュニケーションを多様化することが大切です。たとえば、仕事の合間にちょっとしたおしゃべりをする、一緒にプロジェクトの調査をしたり資料を作成したりする、一緒にランチに行く以外の外出プランを提案する、などです。

また、Z世代はネットやSNSを通じたコミュニケーションに慣れ親しんでいます。直接的なコミュニケーションよりも、メールやチャットなどの非同期コミュニケーションを活用するほうが気軽に話しやすいと感じる人もいるかと思います。


相性のよい人と組ませてみる



コミュニケーション方法、つまり、どう交流するか、だけではなく、誰と交流するかも重要です。

得意なコミュニケーション方法であっても、苦手な人、わかり合いにくい人とであれば、やはり交流はしにくいものです。ですので、孤立している新入社員には、まずは交流しやすいようにパーソナリティの相性が合う人をマッチングしてはいかがでしょうか。

特に、同質な「似た性格」の人であれば、相手のことも理解しやすいですし、似たようなことを良しと考えるので、仲良くなりやすいと言えます。

可能なら、入社時の適性検査の結果などを参照しながら、新入社員に相性の合う人を探して、メンターにしたり、チームを組ませたりしてみてはいかがでしょうか。

相性のよい人とであれば、どんな方法でもコミュニケーションはしやすいというものです。方法と相性、このふたつの側面から、対策を検討してみてください。

グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこ=イラスト・監修
曽和利光さんとリクルート時代の同期。組織のモヤモヤを描き続けて、ありたい未来を絵筆で支援した数は400超。www.graphic-facilitation.jp

曽和利光=文

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