③『ブルージャイアント』全10巻、計2062ページ
予想読了時間=約8時間36分
『BLUE GIANT』石塚真一著、ビッグコミック(小学館) コミック版で計算。ちなみに、次シーズン『BLUE GIANT SUPREME』は全11巻、計2216ページ 予想読了時間=約9時間4分。『BLUE GIANT EXPLORER』は全8巻、計1592ページ 予想読了時間=約6時間38分。全部合わせると約24時間18分。
「オレ、あの日…ジャズにうたれちゃってさ」
中学3年のある夜を境に、世界一のジャズプレーヤーになることを胸に誓った主人公・宮本 大。
はじめは楽譜も読めず、仲間や師も持たず、来る日も来る日も、ただひとり川原でテナーサックスを吹き続けた。まるで生き死にを賭けるかのようにジャズに挑み続けた。
やがて彼の奏でる音色は特別な力を宿していく……。
荒削りの原石でしかなかった彼を見出す者があらわれ、育てる師に出会い、かけがえのない仲間を得る。そうして多くの出会いや、直面するでき事の全てを演奏に昇華させながら、彼は一歩一歩前に進んでいくのだ。
大のジャズへの向き合い方や、踠きながらも努力を続けていく姿は、愚直であり時に不器用にも映る。しかし、「こいつは、きっと夢を叶える」と読む側に思わせる説得力があるのだ。
また、彼を支える周囲の人々の暖かい言動や姿勢にも、尊い学びがあるように思う。
作者は、映画でも有名な『岳 ーみんなの山ー』の石塚真一氏。
彼ならではの人間臭さやリアリティに溢れた、渾身作である『ブルージャイアント』は、純粋で強烈な情熱を抱く一人の青年の成長を瑞々しく描いていく青春の物語である。
それと同時に、ジャズという音楽そのものの魅力や歴代の名曲・ミュージシャンの逸話など、知的欲求までも満たしてくれるのだ。
2013年の連載開始から10年を迎えようとしてる大の旅は、仙台・東京を舞台とした第1部『BLUE GIANT』からはじまり、ヨーロッパでの旅を描いた第2部『BLUE GIANT SUPREME』を経て、いよいよジャズ発祥の地・アメリカへと舞台を移した第3部『BLUE GIANT EXPLORER』に突入している。
これからクライマックスに向かっていくコミックに合わせて、現在絶賛上映中の劇場アニメ版『ブルージャイアント(上映時間120分)』も観れば、物語を100倍楽しめることだろう。
4/7