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2018.01.27

あそぶ

大人の教養!マンガ『昭和元禄落語心中』に学ぶ伝統芸能の奥深さ

男の教養のひとつに! 『昭和元禄落語心中』に学ぶ、
伝統芸能に寄り添う男たちの生き様

大人の男ともなれば、いかに仕事の能力もさることながら、幅広い教養も求められるもの。造詣の深さは人間的魅力に直結し、その場の会話を盛り上げることにも役立つ。
たとえば、日本の伝統芸能のひとつである「落語」について。年末年始、テレビで落語家を目にした人は少なくないだろう。しかし、その世界について深く理解している人はあまり多くはないはず。歴史の深い芸能という部分にハードルの高さを感じ、尻込みしてしまっている人もいるかもしれない。そんな男性陣にオススメしたいのが『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社)だ。
『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社)
本作は、「第17回2013年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞」「第38回講談社漫画賞一般部門」「第21回手塚治虫文化賞新生賞」と数々のマンガ賞を受賞し、テレビアニメ化もされた名作。全10巻で完結しているものの、いまだに人気が高いマンガだ。
主人公となるのは刑務所帰りのチンピラで、ひょんなことから落語界に足を踏み入れた与太郎と、その師匠である八代目有楽亭八雲。第1、2巻では落語の世界で生きることを決めた与太郎の奮闘が描かれ、それ以降は若かりし頃の八雲の波乱に満ちた人生が語られていく。
会社勤務のビジネスパーソンにとって、八雲たちの生きる落語の世界は、少し特殊なものとして映るかもしれない。弟子と師匠、あるいは兄弟弟子との関係性、芸能とともに生きること(あるいは心中すること)、名を継いでいくこと……。それらには理由があり、そこに生きる落語家たちの哲学が滲んでいる。
特に、弟子と師匠との関係性は、部下と上司のそれとは大きく異なる。与太郎が八雲に「あんた(の落語)に惚れた」と断言するように、彼らの関係性はある種の恋愛関係にも似ているかもしれない。相手の芸に惚れ、憧れ、自分自身もそうなりたいと願う。そこには妥協や計算などは一切存在しない。だからこそ、彼らの芸はこうも美しいのだ。
本作で一貫して描かれるのは、落語の魅力に取りつかれた男たちの生き様だ。それを追いかけていくうちに、読者もきっとその魅力を知ることになるだろう。
現在、都内には落語が聴ける「寄席」と呼ばれる演芸場がいくつか存在する。そこには、究極の話芸を追求し、日々、芸の腕前を磨き続けている落語家たちがいる。本作を読んで落語の魅力を知ったならば、次はぜひ寄席に行ってみてもらいたい。冒頭でも言及したように大人の男としての教養が身につけられる云々もあるが、なによりもそのおもしろさにハマってしまうはずだから。
五十嵐 大=文
’83年生まれの編集者・ライター。エンタメ系媒体でインタビューを中心に活動。『このマンガがすごい!2018』では選者も担当。
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