夏のスーツ素材といえばモヘア一辺倒だった1960年代に、日本毛織が当時の技術の粋を投入し、ウール100%を用いて開発した高級素材が「キューバビーチ」だ。独特のハリとコシを備えた、粗目の織りが特徴。現在麻布テーラー全店では、この別注素材を、6万6000円〜(オーダーシングルスーツ)仕立てられる。仕上がりまでおよそ4週間。
▶︎すべての写真を見る ビジネスにおける青服を考えたときに、いの一番に挙がるのは、ネイビースーツだろう。清潔感と信頼感が両得できて、ブルー系特有の爽やかな着こなしが可能、と言うことなし。
オーシャンズ5月号の青特集に掲載する調子いいネイビースーツはないかとネタを探しているなかで、「キューバビーチ」なる青き夏のスーツ素材があるという情報が入った。
ネーミングが最高じゃないか!と早速、取材および撮影を開始。
スーツ7万950円、シャツ1万9800円、チーフ1650円、タイ6050円/すべて麻布テーラー 03-3401-5788、靴8万8000円/パラブーツ(パラブーツ青山店 03-5766-6688)、バッグ13万7500円/シャンボール セリエ(ダニエル & ボブ ジャパン 03-6809-1051)
こちらの素材は、通称“ニッケ”こと、服地界の老舗「日本毛織」が1960年代にリリースしていたウール100%の盛夏素材。この素材に注目したのがファッションテーラーのパイオニア、麻布テーラーだ。
当時のレシピに加え、光沢を生む仕上げ加工を施した独自素材を別注したという。
くだんの生地に触れてみると、強撚糸を凹凸が出るように織り上げており、ハリとコシはもちろん、肌への接着が少なくさらりと実に快適。
写真は「キューバビーチ」で仕立てたオーダーメイドのネイビースーツ。今回、4種類あるベースから選択したのは「クラシコ イタリア」モデルだ。
強調された胸元にシェイプされたウエストラインなど、 現代的なシルエットに仕上げている。
いくらビジネスウェアが多様化しているといっても、ネイビースーツの一着くらい備えておいて損はない。
そして、今夏あつらえるなら麻布テーラー別注の「キューバビーチ」は最良ではないか、とオーシャンズは考えるのである。