コネクテッド化で、安心感も使い方も近未来
さらにスマチャリのスマートフォンアプリは、電チャリの「コネクテッド化」を行う。
所有者のスマートフォンを電チャリの“鍵”として登録すると、登録されたスマートフォンでないと電動アシスト機能が起動しないし、自転車の位置もスマートフォンで把握できるので、盗難抑止にも繋がる。
また仲間同士でサイクリングする際に、お互いの位置の確認や集合場所の共有もアプリで簡単に行える。
さらに速度や走行距離、アシスト出力、バッテリー残量、消費カロリーなどをスマートフォンのアプリで表示したり、走行データの記録・管理も可能だ。
またホンダの車から集まる走行データ等に基づいて、自転車走行に注意したい地点を案内してくれる機能もある。こうした機能は今後も増えていくらしい。
このスマチャリを搭載する第一号車が上記の「RAIL ACTIVE-e」。自転車通販サイト「ワイズロード」を運営している大手の自転車販売店「ワイ・インターナショナル」から2023年9月に販売される予定。
今後はさらに多様なスマチャリ搭載車が登場するに違いない。
ホンダのスマチャリ開発チーム。左から2番目がリーダーの野村さん。
ホンダのスマチャリ開発プロジェクトのリーダーは、学生時代に苦労した自転車通学が原点だと振り返る。高等専門学校時代の通学路は片道約10kmで、学校に自転車で通うだけで体力を奪われたそうだ。
開発にあたっては、全国の自転車通学する高校生2708人に聞き取りが行われ「電動アシスト自転車が欲しい」という声は48%ある一方で、「電動アシスト自転車の機種が限られている」「欲しいけど、盗難が怖い」といった声も見受けられたという。
始めて「Honda」の名が冠された製品「ホンダA型」。
戦後の食糧不足の中、自転車に乗って遠くまで買い出しにいく妻を楽にしてあげたいと思った本田宗一郎が作ったのが、原動機付自転車。
もともとは戦時中陸軍が使用して、払い下げになった発電用エンジンを補助動力としたが、手に入れたエンジンが500個しかなかったため、たちまち在庫がなくなり、宗一郎が自らエンジンを開発することにしたのがホンダの始まりだ。
走るとバタバタと音がするから「バタバタ」と呼ばれて愛された、ホンダの原動機付自転車。スマチャリも「周りの人を助けたい、移動を楽にしてあげたい」という基本的な思いは一緒だ。
まさにホンダの原点回帰であり、進化の証左である「スマチャリ」。きっと親しみの込められた愛称として今後広まっていくだろう。