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挑戦の人生、挑戦する車



「最もリスクを嫌う職業だったんですけどね」。それが今では、どれほど入念に準備をしてもリスクがゼロとはならない自然が人生のフィールド。

昨秋ローンチしたばかりのスタートアップ企業「カムイ」。日本最高峰のアウトドアガイド・体験とユーザーのマッチングを提供する同社でCEOを務めるマックス・マッキーは、鎌倉で生まれ、英国ロンドンで学び、国際弁護士というハイキャリアから転身。

44歳からの再チャレンジ。当然、さまざまなリスクを覚悟で、日本の美しい自然とともに生きることを選んだ。

起業家 マックス・マッキー(45歳)●1977年生まれ。9歳まで東京で過ごしたのちロンドンへ。ノッティンガム大学卒業後、法律学校を経てイギリスで弁護士となる。2006年に帰国。’21年にガイドを軸とした自然体験サービス「カムイ」をスタート。

起業家 マックス・マッキー(45歳)●1977年生まれ。9歳まで東京で過ごしたのちロンドンへ。ノッティンガム大学卒業後、法律学校を経てイギリスで弁護士となる。2006年に帰国。’21年にガイドを軸とした自然体験サービス「カムイ」をスタート。https://kammui.com


国際弁護士時代には三菱UFJフィナンシャル・グループ (MUFGグループ) とモルガン・スタンレーの合弁事業化のメンバーに名を連ねるほどの輝かしいプロフィール。

事業を起こす経験、タフな交渉力、マネーに関する知見といった素質がその身には備わり、パートナーに藤原ヒロシ氏、本田圭佑氏たちを迎え入れるといった人間力も発揮して起業にいたっている。

「藤原ヒロシさんとはスノーボードが共通のキーワード。たまに一緒にバックカントリーを滑ることがあり、2020年の終わり頃にランチをしたとき『カムイ』のアイデアを話したんです。すると『おもしろそうだね。応援するよ』とスタートから関わってくれました」。



本田氏の参画はビジネスパーソン時代のつながりによる。

「前職時代、海外のベンチャーから日本のセレブ的な投資家を探したいと頼まれて本田さんにコンタクトしたんです。アメリカだと俳優やミュージシャンといったセレブの多くは投資していますが、日本でそのような動きをしている人は本田さんくらい。そうした投資案件で知り合って、今回改めて『カムイ』の話をしたら投資をしてくれました」。



おそらく“日本の自然をフィールドとしたプレミアムな体験を創出する”という点に興味を抱いてくれたのではないか。そうマックスは振り返り、その背景には日本が国をあげてツーリズムのクオリティを向上させていく流れがあるのだといった。

そして、カムイには“ユーザーにプレミアムな体験を提供する”こと以外にもうひとつの目的がある。

それは、ガイドの地位向上だ。マックス曰く「欧米に比べ、日本のガイドたちの報酬は驚くほど低い。ガイド料だけでは生計を立てられないのが現状」とのこと。

サービスをローンチするまでに、マッキーさんはなんと150人以上のガイドにヒアリングを重ねたそうだ。



こうして過去のキャリアで培ったスキルやネットワークを駆使し、道なき道を自身で開拓する人生へハンドルを切った。新たな再出発である。

実はマックス、順風満帆に見えてカムイ立ち上げ前には、8年にわたり携わった事業を整理したり、プライベートでもパートナーとの別れを経験したりと不安な時期を過ごしたそう。

「仕事もプライベートも半年先のことは誰にもわからない。それよりも今吹いている風の音を聞くことのほうが、どれほど大切か」。それに気づいたからこそ、新たな挑戦ができたのである。



レンジローバー スポーツも“チャレンジ”がテーマと冒頭に書いたが、これもマックス同様、生半可な挑戦ではない。

これまで、中国湖南省にある天門山の999段の急な階段「上天梯」を駆け上がったり、スイスにある世界で最も過酷といわれるダウンヒルコースを最高速155kmで滑降。また、アイスランド最大の水力発電所のダムを、放流した状態で駆け上がるといった挑戦をし続けている。どの車も成し遂げたことのない、世界最高峰のオフローダーであることを証明するために。
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