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すべての営みが地球のサイクルに回帰する社会へ

ゴールドウインはファッション産業に起因する環境問題の改善を目指し、2015年からスパイバー社と構造タンパク質素材の共同開発に取り組んできた。

株式会社ゴールドウイン代表取締役社長、渡辺貴生氏(左)と、スパイバー取締役兼代表執行役、関山和秀氏(右)

株式会社ゴールドウイン代表取締役社長、渡辺貴生氏(左)と、スパイバー取締役兼代表執行役、関山和秀氏(右)。


スパイバーの取締役の関山和秀氏曰く、ブリュード・プロテインの強みは「ゴミにならないこと」。

人間社会では“生産物=やがてゴミになる”が常識だった。しかし、もともと自然界では動物の死骸でさえ資源となり、地球を循環させる糧となる。

「人間の物作りの概念にも自然界の仕組みを取り入れることで、人間と自然がちゃんと繋がる。そういう意味で、ブリュード・プロテインは重要なツールになる」(関山氏)。

ザ・ノース・フェイスが2019年に50着限定で発売した、ブリュード・プロテイン仕様の「ムーンパーカ」。

ザ・ノース・フェイスが2019年に50着限定で発売した、ブリュード・プロテイン仕様の「ムーンパーカ」。


これまでもブリュード・プロテイン繊維を使用したTシャツやダウンジャケット、ニットウェアなどが発売されてきたが、ブリュード・プロテインの生産量の都合もあり、いずれも数十〜数百着の展開に留まっていた。

しかし昨年、スパイバーがタイに大規模な生産工場を作ったことで量産体制を確立。渡辺氏によると、「今回は数千着程度の販売を計画し、今後数年で数万着程度の見通しはできている」。

株式会社ゴールドウイン代表取締役社長、渡辺貴生氏。

株式会社ゴールドウイン代表取締役社長、渡辺貴生氏。


ゴールドウインは2030年までに製品と材料の廃棄をゼロにし、プロダクトの90%を環境負荷低減素材を使って製造、そのうちの10%をブリュード・プロテインに置き換える予定だという。

渡辺氏は言う。

「(ゴールドウインは)地球本来の美しさを取り戻すプロジェクトを推進する。人類が宇宙にフィールドを移すのではなく、この地球をよりよい状態へ進化させていく。

適切なテクノロジーで自然と文明を接続し、すべての営みが地球のサイクルに回帰する社会へとデザインし直していきたい」。

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