当記事は「The Wordway」の提供記事です。元記事はこちら(第1回、第2回、第3回)。 「昨日の自分を超える」をテーマに各界のトップランナーの言葉を音声とともに届けるメディア『THE WORDWAY』。音声、インタビュー全文を楽しみたい方は
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今回のアチーバーは、人気お笑い芸人のたむらけんじさんです。
50歳となる今年5月にすべてのレギュラー番組を卒業し、アメリカへ活動拠点を移すことを発表しているたむらさん。
多くのレギュラーを抱える人気芸人でありながら、「副業」と語るビジネスでも成功を収めるなど、唯一無二の存在感を放ってきました。人生は一度。他者からの評価を気にせず、挑み続けるために必要な考え方、たむらけんじさんにとっての「お金」とはーー。
歩みを止めない男が、飾り気のない「WORD」で自らの生き方を語ります。
言葉① 「新しいことをするのにノーリスクはありえないし、失敗しても命はなくならない」
Q:目前に迫ってきたアメリカ行きの経緯、その理由や思いについて教えてください。
理由は、めちゃくちゃ沢山あるんですけど、まず、芸人を30年やらせてもらって、今年の5月4日で50歳になるんです。そこで一区切りをつけようと思ってるんですけど、芸人の仕事ってめちゃくちゃ楽しくて、最高なんですよ。
僕80までは生きるって決めてるんです。そのちょうど30年がまた来るんやって。この30年をこの大好きな芸人のままでやるのか、リスクは背負うけども、もしかしたら芸人の仕事以上に楽しい場所があるんじゃないかなって思った時に、「ちょっと、そっち行ったろかな」と思ったんです。
Q:大きな決断です。迷いはなかったのですか?
全て失うんですけど、それが見つかったら安いもんやって思えるような場所を見つけるために、もう1回再チャレンジというかね。あの時、18歳の高校出た僕が、この芸人の世界に飛び込んだ時のあのワクワク感をもう1回味わいたいっていうのが、一つ大きな理由ですね。
Q:「いつかはアメリカで」という思いは、以前からあったのですか?
いや、全くないですよ。だって芸人の仕事以上のものなんてあるわけないと思ってたから。コロナって、地球人みんなしんどかったじゃないですか。けどなんかちょっとコロナのおかげかなっていうとこも、あるんですよね。
Q:コロナ禍で考えに変化があったということですか?
僕ら芸人って、「芸人たむらけんじ」しか僕の仕事をしたらダメなんですよ。だから、スケジュールに関しても、全てが決められていく。何て言うか、ブレーキのない、アクセルしかついてない車にずっと乗ってる感じ。
その中でもう何十年もやってきたんですよね。その時に、コロナで急ブレーキが踏まれたんですよ。1ヶ月、2ヶ月とか家で1人でいる時に、何か色々考えるじゃないですか。
それと、コロナになる直前に、アメリカのグランドキャニオンに行ったんです。その時も、「このままでいいんか」っていうのは思ってたんですよ。僕、グランドキャニオンをなめてたんですよ。まぁええ景色なんやろうなみたいな感じで行ったら、とんでもなくて。
400万年かけて、たった一本のコロラド川が削り出して、この景色を作り出したって聞いて、信じられなくて。スケールでかすぎるやろって思った時に、なんか自分が悩んでるのがアホみたいに思えてきて。これよく言う話ですし、実感はなかったんですけど、それがなんかバババッてきてしまったんですよね。
どこかにあったモヤモヤした思いとコロナ禍が重なり、新たな一歩を踏み出したい感情があふれ出たのですね。 それと、もう1つの理由はダウンタウンさんですね。僕はダウンタウンさんを見て、この世界に入ってきたんです。
コンビも解散してピンになって苦労して、もう辞めなあかんなっていう時もあったんです。でも、何とか運よくきた時に、松本さんとレギュラーの番組を持つことになるんですね。神様と一緒に仕事するわけですよ。それで6年半ぐらいかな。でも、番組がロケ番組やったんで、それもコロナで終わっちゃうんですよ。それが終わった時に、ぽっかり穴が空いたというのもありましたね。
Q:積み重ねてきたものを一度ゼロにして、新たな挑戦をするには大きな勇気が必要だと思うのですが、たむらさんのように、後ろを振り返らずに行動を起こすには何が必要でしょうか。
退路を断つとか、そういう感覚はないんですよ、本当に。だから、みんなから「もったいないなー」ってよく言われるんですけど、そのもったいないっていう感覚がないんです。何か新しいことすんのにノーリスクはありえへんやろと思ってるんで。
「もったいないなー」って言われて、「あ、もったいないんや」っていう風に思ったぐらいです。不安になることはありますよ。もちろんありますけど、何かね、昔からなんとかなるやんって思ってるんですよ。
Q:不安より「なんとかなる」が勝つと? 結局、お金じゃないですか、そのヤバくなるっていうのは。でも、自分さえ怠けへんかったら何とかなるでしょ。めちゃくちゃいい生活とかはできなくなるかもしれへんけど、でも生きれるじゃないですか。僕生きてたらいいと思ってるんで、失敗しても金がなくなるだけで命はなくならへんので。
ビビってないというか。だから、今回の決断はめちゃめちゃポジティブです。客観的に自分の状況とか、気持ちとがわかるから決断できたと思いますね。
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