とはいえ、“人手不足の解消”をテーマにしている企業や事業は数多く存在している。エンジニアリングやシステム開発によりそれを解決しようとしているというのは、珍しくはない。なぜ、同社に再入社したのだろうか?
「ベンチャー企業というと、長時間働いて、とにかく努力して……という姿を想像する人も多いと思うのですが、ランチェスターはむしろかなり堅実志向で、世の中のニーズを見ながら手堅く一歩ずつ前に進んでいくファクトベースな会社なんです。そして、外に出てみて、そんな会社が自分には合っているんだと知って。
また、創業時の忙しい時期を共に過ごしてきた仲間や信頼できる同僚がいることも大きな理由になりました。好きな会社で、社会貢献につながる自社サービスを立ち上げることができることは、自分にとって魅力的な選択肢でした」
加えて、事業そのものの伸びしろにも可能性を感じていたようだ。
「MGReは、受託開発で培ってきたリテール向けのアプリに対するノウハウや、ユーザーへの理解から生み出されたサービスです。 なので、これまでの自分の経験を活かせますし、新しい経験も積めるので、トライしてみたいと思いました。実際、別の会社で経験したUIデザインの経験や企画設計、コンセプトづくりなども、今の仕事に活かされています」
必要な時に、必要な縁が巡ってくる
経歴の表面だけなぞると「複数社を渡り歩いている」という印象を抱くかもしれないが、語る機会が少ないだけで、一つひとつに個人の理由があるのだ。瀬尾さんのように、その時々で転職に求めることが変わってくる人も少なくないだろう。
会社と個人の関係性について、瀬尾さんはこう語った。
「在籍中に会社や仲間と良い関係を築くことはもちろん大切ですが、やめた後も良い関係を続けていられると、必要な時に、必要な縁が巡ってくるようになるんですよね」
会社も個人も常に変化し続けているので、合わない時が来るかもしれない。だが、時間が経過することにより、会社と個人のニーズが再びマッチすることがあるのだと知った。
そして、太くとも細くとも、会社と何かしらのつながりがあるからこそ「元いた会社に戻る」という選択肢が出てくるのだろう。互いに変化した先に、また一緒に働くことができたら、それはとても幸せなことなのかもしれない。