言葉②楽しくないことはやらない。ただ、人がやらないことや嫌がることは絶対やる
Q:近藤さんは、これまで国内外さまざまなホテルブランドで仕事をされてきたわけですが、ホテリエとして貫いていること、仕事をする上でのポリシーのようなものはありますか? 基本的には染まらないですね。自分のやり方を通していくというか、信念として自分がやりたいことはやりたい。ただ重要なのはクオリティーで、自分の意識してるクオリティーだけは変えたくないという信念があります。
もちろんブランドスタンダードを守った上で尚且つ自分のブランドづくりと言いますか、この信念は変えたくないと思っています。
Q:妥協をしないから、自分の中に基準を持ち続けられるということですね。 今でも変わらないのですが、バーの立ち上げをしたら、全部自分がテイスティングしますし、毎晩のようにバーに行ってサービスを見ています。
ホテルにはゲスト満足度調査というものがあるのですが、最初アデレードのヒルトンに来た時は最下位でした。
その数字を変えることにフォーカスして、常にロビーにいるようにしたり、チェックイン時にお客様に話しかけたりして、従業員の態度が変わるまでそのような自分の姿勢を見せ続ける、そこはやはり曲げないでやり続けるということです。
実際にゲスト満足度調査は最下位から1位になりましたし、そこは本当にこだわってやってきたと思います。
Q:組織がモチベーション高くい続けるために、心がけていることはありますか? 明確なゴールが必要です。同時にシンプルであること。ホテルだと、経営の成績を上げていきましょう、お客様の満足度調査は何%以上を取りましょう、スタッフの満足度調査は何%以上を取りましょうと。
そのような目標を私たちは大体5つぐらい持っていて、すごくシンプルに設定して数字を明確にする。そこはメジャラブル(測定可能)でないといけないです。
Q:近藤さんの指針としている言葉があれば教えてください。 英語で言う「WORK HARD, PLAY HARD」。それと同時に、やり続けること、諦めないこと。これは重要だと思っています。自分も諦めないことはたくさんあって今までやってきましたし、そこは大事にしています。
自分の心が折れないようにするためには、諦めないというのが信念ですが、やはり楽しくいたいですし、つまらない仕事を続けるつもりもないので、楽しくするには仕事も一生懸命やって、いろんな趣味だとか遊びも沢山やってというのは大事にしています。
Q:それは総支配人になりたいともがいていた頃も、今も変わっていないのですか? そうですね。楽しくないことはやらないです。ただ、人がやらないことは絶対取ります。人が嫌がることを取って、それを自分の強みに変えるというのはやってきました。
例えば、自分は本当に異動が多かったのですが、みんなが「うちは家庭があるので・・」というところを、「私がやりましょうか」とパッと取っていく。
それによって、自分自身のキャリアも上げられる。やったことがないことをやる、行ったことがないところで何かをやり遂げるというのは、自分が成長する機会を与えてもらえているといつも考えています。
Q:最後に、この「W大阪」で実現していきたいこと、今後の近藤さんの目標を聞かせてください。 やっと日本でWブランドの認知度が上がってきたので、世界でもどんどん上げていきたい。
日本ではこれだけ「Wに行きたい」と言っていただけるようになっても、まだまだ世界的には知名度がない。
なので今年はどんどん世界に出ていって、「日本にW大阪ができました」「W大阪は日本のトップラグジュアリーレベルのホテルです」というのを知ってもらいたいというのが、まず第一の目標です。
そして、やはりこのホテルをお客様でいっぱいにしたいです。満室にして、もっとイベントを開催して、そのような本来のWホテルを世間に見て頂きたいと思っています。
近藤豪(こんどう・ごう)- 1973年1月26日、横浜生まれ。高校卒業後にホテルマネジメント、ホスピタリティ教育のトップスクールであるレ・ロッシュ大学(スイス)に入学。卒業した97年~99年までヒルトンインターナショナル・コーポレートマネージメントトレーニー。99年にヒルトン大阪レストラン統括支配人となり、01年からザ・リッツ・カールトンドーハ 飲料支配人を歴任。2013~16年までザ・リッツ・カールトン京都・大阪 副総支配人を務め、17年にセントレジス ホテル 大阪総支配人に就任。現在はW大阪総支配人を務めている。