▶︎すべての写真を見る 銭湯の中でクラフトビールが飲めるスポットが大阪にあるという。
しかも、女湯で……!!
場所は阪急淡路駅から徒歩10分ほどの住宅街の一角にある「上方ビール」。のれんをくぐって中に入ると、男女問わず「女湯」に通される。
では男湯のほうはどうなっているかというと……
女湯のスペースでビールが飲めるのは直売所が営業している土日のみ。
じゃじゃーん！
男湯のスペースにはビールを造るための巨大なタンクがずらり。そう、ここは築60年の銭湯跡地をリノベーションしたクラフトビールのブルワリーなのだ。
「クラフトビールを造る場所を探していたとき、不動産会社から最初に紹介されたのがこの銭湯でした。それまで銭湯なんて考えてもみなかったけど、銭湯がビール工場になったら面白いと思ってすぐに決めましたね」。
そう教えてくれたのは上方ビール代表の志方昂司さん。
志方さんは実際にリノベーション工事をして、銭湯の設備がビール工場と親和性が高いことに驚いたという。
しっかりとした建物の基礎や巨大タンクが搬入できる高い天井、大量の水を送ることができる太い水道管、湯を沸かすボイラー。リノベーションといっても大がかりな工事は必要なかった。
ちなみに男湯ではなく女湯の方をみんなが出入りできるフリースペースにしたのは、やっぱり男のロマン……？
そう尋ねると、「はい、と言いたいところなんですが、実は設備上の問題なんです」と志方さん。女湯の床下が空洞になっていて大きなタンクが置けなかったという。
瓶ビールは1本800円〜販売。
ここで飲めるクラフトビールは造りたての樽生が常時5種類と、オリジナルの瓶ビールが10種類。人気のビールを聞いてみると、「同じものは2度と作らないんです」という答えが返ってきた。
どんなに評判のいいビールでもタンクが空いたらそれで終わり。訪れるたびに、新作のビールに出合えるなんて、ちょっとワクワクする。
生ビール（500円）を頼むと牛乳ビンのグラスに入れてくれる。ロゴ入りの牛乳瓶のグラスはお土産にもできる（牛乳瓶グラスは1個500円で販売）。
志方さんは、これまで日本酒の酵母や米、緑茶といった日本ならではの食材から、トマト、キウイ、レモン、栗、かぼちゃといった野菜や果物とかけ合わせたものまで、“食事に合うビール”をコンセプトに多彩なビールを作り続けてきた。
その数は、醸造所を開いてから4年の間になんと270種。それでもまだまだ造ってみたいビールがたくさんあると語る。
「最終的にはみなさんから頼まれたオリジナルビールを製造する工場にしたいんです。海外には家で飲むビールを手軽に自家醸造できますが、日本では免許がないとできないんですよね。
だから例えば庭で採れたトマトでビールを造りたいとか、形が悪くて出荷できない果物を使ってみたいとか、そういう要望に応える醸造所になっていけたらと思っています。うちの醸造所を通して、『ビール造りが趣味』といえるくらいクラフトビールを身近に感じてもらえたらうれしいですね」。
上方ビールでは現在もオリジナルビールの製造を受け付けており、15L（3万3000円）から造ることができる。この量と値段を聞いて、「これなら自分でも造れるかも……！」と興味を持った人も多いだろう。
なにはともあれ、まずは直売所がオープンしている週末に出掛けて、クラフトビールの奥深さを実感してみてほしい。つまみも持ち込みOKなので、駅前の商店街に立ち寄ってから向かうのも楽しいぞ！
［店舗詳細］「上方ビール」住所：大阪市東淀川区西淡路3-15-6
電話：06-6829-6550営業時間：14:00～19:00（土日のみ）https://kamigatabeer.co.jp 
