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何気ない日常会話に心を満たされていた

人間関係も恋しさも感じているという。いじりあえる友達がいないのも、梅沢さんにとっては心の支えを失うことだった。

「友達とのコミュニケーションがかなりの癒やしになっていたんだなって思います。原宿で働いていた時期が長いので、電車に乗ってても歩いてても、知り合いにちょこちょこ遭遇するんですよ。

何気ない雑談から情報をインプットできたり、『あいつも頑張ってるんだな、俺も頑張ろう』って刺激をもらったりしてたんですね」。

なみに、フィンランド移住は100万もあればOKで、英語はどこでも通じるとのこと。初動のハードルは高くなさそうだ。

ちなみに、フィンランド移住はやりようによっては100万円もあればOKで、英語はどこでも通じるとのこと。初動のハードルは高くなさそうだ。


フィンランドに友達がいないわけじゃない。しかし、数には圧倒的な違いがあり、心を通わせられる関係も限られる。

「フィンランド人や日本人の友達もいるんですよ、もちろん。美容室を構えている地域は、エリート層や社会的地位のある人が多いので刺激的でもあります。でも、去年、日本に帰って友達と一緒にスタバでお茶しましたけど、すごい特別な時間で。あぁ、こんなにもいい時間だったんだなぁって(笑)」。

美容師の社会的地位を向上させたい



ちょうど日本が恋しくなる時期なのか、ヘルシンキ生活が3年半を過ぎた梅沢さんからは日本に対する郷愁の念に溢れていた。「こうやって取材を受けたのに、来年は日本にいるかもしれません(笑)」とも話す。

だが同時に、ヘルシンキで成し遂げたい目標もある。

「フィンランドにおける美容師の社会的地位は低いですが、僕はもっと価値が上がるべきだと思っています。値段も高くて当たり前だよねっていうところまで業界を持っていけたらという思いもあります。

そこで手応えを感じられたら、帰ろうっていう決心ができるかもしれません。でも、戦争も起きていて時代がどうなるか不透明なので、今はこの瞬間を生きているっていう感じですね」。


北欧移住を考えている人はぜひ、梅沢さんの言葉からヒントを得ていただきたい。日本と共通点の少ない異国に住むことは、強烈な郷愁の念に駆られることは覚悟したほうが良さそうだ。

いずれにせよ、「人生の選択は自由である」からこその葛藤。いくつになっても続く選択の連続を謳歌しようじゃないか。

ぎぎまき=取材・文

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