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これからの時代、本を売るために大切なこと

「『地球の歩き方』にとっては初めての漫画コラボで、勇気も要りましたが、企画を出した当時は事業環境的にも追い込まれていて、開き直りに似た境地に達した感じもありました。コロナ禍で『海外取材ができず作れる本がない』というピンチをチャンスに変えられた側面はあると思います」

さまざまな業界で事業環境の不確実性が増す昨今、ピンチをチャンスに変えられた要因として、編集者という制作現場の立場から感じたことはあるだろうか?

「それまでの仕事のやり方がリセットされ、自分たちの置かれた現状を共有しながら、強み・弱みを再確認することで得られた気づきは多かったです。あとは、それぞれの編集者がプロデューサー的な立場で、比較的自由にガイドブックを制作してきた土壌も1つあるのかなと。

采配の部分は編集長がスピーディーに決めるんですが、やはり何が当たるかわからないので、当社はけっこうニッチな本も出していて。トップダウンというよりは全員で企画を話し合うし、基本的にアイデアは否定しない。その代わりどうすれば売れるか、販売部も交えつつ売り方まで突き詰めて考える傾向はある気がします」。

『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』(学研プラス)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

『地球の歩き方 JOJO ジョジョの奇妙な冒険』(学研プラス)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします


『地球の歩き方 JOJO』は、情報解禁と予約を昨年4月1日に開始。「エイプリルフールのネタでは?」とSNSをザワつかせ、予約段階でAmazon売れ筋ランキング本総合1位となった(同日調べ)。

また、昨年7月の当ガイドブックの発刊を記念し、仙台市と実施したSNSキャンペーンには多くの人が参加した。

「SNSなどを活用した仕掛けや読者に親近感を持ってもらえるような企画は、やはり今後ますます大切になってくるのかなと。コロナ禍で観光需要が消失して苦しむ地方自治体も多いなか、リアルな旅につなげられたことはうれしかったです。

個人的な興味や“好き”をどうやって社会的価値につなげ、新しい価値を生み出せるのかということはつねに考えてきましたが、本作りにおける愛情の大切さを私も再認識しました」。

由良氏は、直近でも旅気分を味わいながら楽しく地理を学べて脳活にもなる新感覚の地図帳『地球のなぞり方』や、各国の100の絶景と名言を集めた『旅の名言&絶景』といったシリーズを展開中。従来の場所・エリア別のガイドブックにテーマ軸が加わり、新たな旅の提案につなげている。

「ようやく少しずつ海外旅行が再開してきて、従来の『地球の歩き方』シリーズの制作や改訂作業も再開していますが、コラボに限らず何か新しいことは今後も継続していきたいです」。

以前は日々の業務に追われ、新しい取り組みがなかなかできなかったと振り返る由良氏。多くのビジネスパーソンにとって、他人事ではない話だと感じた(撮影:今井康一)

以前は日々の業務に追われ、新しい取り組みがなかなかできなかったと振り返る由良氏。多くのビジネスパーソンにとって、他人事ではない話だと感じた(撮影:今井康一)



伊藤 綾=文
東洋経済オンライン=記事提供

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