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デニムの“在り方”を込めた一本

そうして大淵さんは、ついにポストオーバーオールズのデニム作りをスタートさせる。

「長くデニムをはいてくると、やっぱり『もっとここがこうなっていたらいいのにな』とか思い始めるわけですよ。例えば、リーバイスの縫製糸は基本的にオレンジやイエローですが、僕はブラックがいい。となれば、もう自分で作るしかありません(笑)」。



そんな大渕さんの大本命が、このポストオーバーオールズのブラックデニムである。




 
「若い頃は、結構大きいジーパンを腰からやや落としながらはいていました。501なら1、2サイズは上だったし、3サイズ上げてダボダボにはいたこともありました。実は、今も当時の気分がまた盛り上がってきたところです。

とはいえ、年齢も年齢なので、当時とまったく同じノリというのも違う。なので、やや大きめではあるんですけど、股上を程よく浅めにし、腰ではいてもヒップ部分があまり落ちて見えないよう調整しました。これなら腰ばきしてもダラッと見えません」。



生地には程よく厚みと重さをもたせており、ちょうどヴィンテージデニムのそれに近い。シルエットは潔くレギュラーストレートである。

「テーパードもいいんですけど、やはりジーパンならある程度の野暮ったさが残るこのシルエットがしっくりくるかなと。もちろん、ステッチもブラックです」。



着こなしにおいても、昔の感覚に戻りつつあるという。

「昔はブルーデニムにクラークスやビルケンシュトックなんかを合わせていました。しばらくはご無沙汰でしたが、最近はまたこのスタイルがキブンになっています」。



かつては身近だったデニムも、今では“稀少なヴィンテージ”として価値が跳ね上がり、そうそう脚を通しがたい存在になってしまった。

そんな一抹の寂しさを持つ人こそ、ポストオーバーオールズの傑作デニムを手に取ってみてはどうか。きっと、共感できる何かがあるはずだ。

鈴木寿教=写真 菊地 亮=取材・文

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