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アウトドアファッションの新たな定番ブランドとして一躍スポットライトを浴び、日本で飛ぶように売れ始めたアーク。急激に膨れ上がった需要にどう対応するかは大きな課題だが、これがなんとも難しい。

コロナによる増産の制約に加え、アウトドアが盛んなお膝元の北米市場を筆頭に各地域で販売が伸びているため、日本への割り当て量だけを大幅に増やすわけにもいかない。

アークの国内販売を統括する高木賢氏は、「日本では街着として売れているが、本来のアウトドア用途でもっとブランドを浸透させたい」と語る(記者撮影)

アークの国内販売を統括する高木賢氏は、「日本では街着として売れているが、本来のアウトドア用途でもっとブランドを浸透させたい」と語る(記者撮影)


国内販売を率いる高木氏は「もっと商品がほしいとリクエストはしているが、決めるのはあくまでカナダの本社。われわれとしては、決められた供給量の中でやるべきことをやっていく」と話し、日本市場の大きな課題として、本来のアウトドア用途でのファン層拡大を真っ先に挙げる。

アウトドアシーンでの着用率を上げたい

「街着として買っていただけるのはありがたいが、やはり登山やクライミング、バックカントリーなど、アウトドアでもっと多くの人に着てほしい。日本ではそうしたアウトドアシーンでのアークテリクスの着用率がまだまだ低い。そこを着実に上げていくのが一番の大きな課題だと考えている」(高木氏)

こうした想いは直営店の販売スタッフたちも同様だ。ある販売員はこうこぼす。「お客さんの数は増えたけど、タウンユースで買っていく方が大半なので、接客していてお客さんと山の話をしたり、登山の服装のアドバイスを求められたりすることがむしろ減った。それがすごく寂しいんですよ」。

限られた供給量の中で販売現場の混乱を最小限に抑えつつ、本来のアウトドア用途でのファンをいかに増やしていくか。日本でのアーク事業にとって、2023年は難しい舵取りを求められる1年になりそうだ。




渡辺 清治=文
東洋経済オンライン=記事提供

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