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近年、日本では世界でも類を見ないほどアウトドアファッションが若い男性たちに浸透。その火付け役となったのが、アメリカで誕生し、国内ではゴールドウインが商標権を持つザ・ノース・フェイス(以下ノース)だった。

街着としても大人気化したノースは国内売上高が年間800億円規模にまで成長し、今では街中でそのロゴを見かけない日はないほどだ。

ただ、さすがにここまでノースを着る人が増えてくると、ファッションにこだわりのある人ほど、街中でかぶりにくい、新たなカッコいいブランドを探し始める。

そうしたタイミングでアウトドアファッション系のユーチューバーたちがこぞってアークの商品を取り上げ始めた影響もあり、いわゆる「にわかアークファン」が一気に増えたのだ。

中国人転売ヤーが出現

さらに品不足に拍車をかけているのが、人気に目をつけた転売ヤーの存在だ。

転売が横行するのはノースの人気商品でも同じだが、アークの場合は、日本に住む留学生など多くの中国人転売ヤーが出現している点に大きな特徴がある。

化繊綿入りの「アトム」シリーズはアークを代表する人気商品。アウトドア用の行動着だが、普段使いもしやすく、店頭に並べばすぐに売り切れる(記者撮影)

化繊綿入りの「アトム」シリーズはアークを代表する人気商品。アウトドア用の行動着だが、普段使いもしやすく、店頭に並べばすぐに売り切れる(記者撮影)


中国ではかつての現地代理店が超高級ブランドとしてアークを売っていた経緯があり、アメアスポーツの直販体制になって以降も日本より5割以上高い定価で販売されてきた。

それでも富裕層を中心にブランドが人気化。円安が進んだ今の日本なら現地の半値で買え、それを中国で売れば相当な転売益が得られるのだという。

「中国の転売ヤーの人たちは力の入れ方がすごくて、毎日のように入荷状況を調べに来る。店側としては対応に苦慮しています」。

都内直営店のスタッフは苦笑いしながらそう話す。カナダの本社もこうした国をまたいだ転売問題を認識し、極端に高い中国内の定価を修正する方向で検討しているようだが、本格的な調整には時間を要する見通しだ。


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