RS“アドバンスト”モデル640万円。
▶︎すべての写真を見る ブランドイメージを大きく変えた新世代のクラウンシリーズ第1弾「トヨタ クラウン クロスオーバー」。
セダンとSUVを掛け合わせた車体で、バイカラーも選べるユニークなバリエーションと、フロントとリアに配置されたシャープなライトが、ブランドの生まれ変わりを象徴するよう。
一方、配慮の行き届いた乗り心地には、らしさも健在。フロントに備えられた単眼カメラとミリ波レーダーが、ブレーキによる衝突の予防をはじめ、発進遅れ防止、緊急時に自動で障害物を避ける機能など、多様な運転支援を提供する。
渡辺敏史さん「紆余曲折のうえ納得の……」
クラウンが登場したのは1955年のこと。日本では最古の歴史を持つ乗用車であるとともに、トヨタにとっても自動車メーカーとしてのアイデンティティを最も端的に示す存在でもあります。
経済成長を重ねた昭和の時代には、カローラやマークⅡとともに人気を集め、自動車ヒエラルキーの上部を構成して世の殿方の憧れを集めました。
バブル時代を経て、失われた何年といわれる状況が続いた中で、この強固なピラミッドは徐々に崩壊、クラウン的な車の居場所はどんどん狭まっていきます。
それでもクラウンをある種の「アガリ」として目指してきた方々のことは裏切れない。ということで、21世紀以降のクラウンは“変わる”と“変わらない”の堂々巡りを繰り返してきました。
その長い紆余曲折を経て、新型クラウンは吹っ切れた、完膚なきまでの変貌を遂げました。
一見なんの脈略もないクロスオーバーの体をとりつつも、乗り降りのしやすさや乗り心地、静粛性など、快適さをいかに極めているかを体感すれば、ああこれはクラウンなのだと思わされるところもあります。
特に上位グレードのRSは、ハイブリッドの新たな可能性を匂わせる猛烈な運動性能で、新世代のクラウンの価値が想像の斜め上にあることを知らしめてくれるわけです。
| 自動車ライター 渡辺敏史 出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。 |
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