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ブレイクスルーの秘密は創業者のパーソナリティにある

ディオールなど数々のビッグメゾンでキャリアを積んできたデザイナーが手掛けるイギリスの気鋭ブランド、エドワード クラッチリーとのコラボモデル。深く鮮やかなグリーンの色みと、ステッチの上に施された黒のテープラインが印象的なダウンコートだ。10万100円/セーブ・ザ・ダック 03-6822-7062

ディオールなど数々のビッグメゾンでキャリアを積んできたデザイナーが手掛けるイギリスの気鋭ブランド、エドワード クラッチリーとのコラボモデル。深く鮮やかなグリーンの色みと、ステッチの上に施された黒のテープラインが印象的なダウンコートだ。10万100円/セーブ・ザ・ダック 03-6822-7062


そのほかの取り組みにおいても、内容は真摯かつ具体的だ。毎年の売り上げの1%を、子供の支援団体「セーブ・ザ・チルドレン」や動物愛護団体「ペタ」などの慈善団体に寄付。’30年までのネットゼロに向けた、サプライチェーンで発生する温室効果ガスの排出量の削減。職場におけるジェンダーの平等と、女性の活躍の促進。

数々の目標と成果は毎年詳細なレポートが作成され、HP上に開示される。’19年にはイタリアのファッション企業として初めて、Bコープ(※2)認証も取得した。

「明確な数字は確かに重要。でもそれは、決して目的ではありません。私たちの理念をお客さまと共有することがいちばん大事。そうすることで、いまだにサステナブルの意識を持たない人たちを巻き込むことができる。

そして既にサステナブルな暮らしを実践している人たちと、より強力な信頼関係を結ぶことができるのです」。

そう、ニコラスさんの視線は過去ではなく、常に未来を向いている。その証拠に“これから”をたずねたときの彼はことさら饒舌になる。

今季の広告ビジュアルのひとつ。キャッチコピーは「羽毛は鳥たちのために。プラムテック®︎は人間のために」。

今季の広告ビジュアルのひとつ。キャッチコピーは「羽毛は鳥たちのために。プラムテック®︎は人間のために」。


「例えば一部のアウターには、アジア地域の水路や海岸線から50km以内の地元の人々によって回収されたペットボトルを使用した、ユニファイ社のリサイクル素材を採用する予定です。またロゴのパッチやボタンなどのパーツも、順次生分解性の素材に切り替えていきます」。

ブランドを設立する以前、ニコラスさんは「ミラノ市内の保護犬数十頭を、すべて引き取って自分で育てた」ことがあるという。この話を聞いて確信したのは、彼が目の前の問題を見過ごせない人物であるということと、他人の目を気にせず信じた道を突き進む人物であるということ。

そしてこういう人物だけが現状を打破する力を備えていると、世の人々は誰もが知っているのである。

SAVE THE DUCK セーブ・ザ・ダック
創業年:2012年
本社所在地:イタリア・ミラノ
従業員数:約80名(2022年12月現在)
事業展開:世界43カ国

Sustainable Keywords
・“アニマルフリー”の観点から新素材「プラムテック®︎」を開発
・職場におけるジェンダーの平等と女性の活躍を推進
・イタリアのファッション企業として初のBコープ認証を取得

(※1)シェルパ族
ネパールの少数民族のひとつ。高所耐性を備えていることから、ヒマラヤ登山のポーターとして活躍してきた歴史を持つ。

(※2)Bコープ
アメリカの非営利団体「Bラボ」による、サステナブルな企業に対する国際的な認証制度。3年ごとに監査が行われる。

品田健人=写真 加瀬友重=編集・文

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