本物のダウン素材に劣らぬ機能性をエベレスト登山で証明
自然保護団体「ワイルドエイド」との最新コラボモデル。3万9600円/セーブ・ザ・ダック 03-6822-7062
セーブ・ザ・ダックの掲げる“100%アニマルフリー”実現のための最も重要な素材が、先述した「プラムテックR」だ。すべてのアウターの中綿に採用されるこの素材の機能性について、ニコラスさんが特徴を教えてくれる。
「ポリエステル100%の合成素材ですが、柔らかさも保温性も、本物のダウンにまったく引けをとりません。洗濯も乾燥もとても簡単なんですよ」。
写真のライオンのほか、絶滅危惧種に指定されているサイ、トラ、ペンギン、ゾウの計5種類の動物がフィーチャーされている。
また現在は環境への影響をより軽減させるため、再生ポリエステル繊維で作った「リサイクルプラムテックR」も併用している。
「もちろん私自身は、開発当初から“プラムテックR”の機能性に確固たる自信を持っていました。でもお客さまに、本物のダウン以上に優れていると納得してもらうことは本当に難しかった。そこで、あるプロジェクトを計画したのです」。
それは、セーブ・ザ・ダックが製作したマウンテンスーツを着用して、世界最高峰のエベレスト(8848m)に登頂することだ。
セーブ・ザ・ダックのマウンテンスーツを着用し、2019年5月にエベレスト登頂を果たしたクンタル・A・ジョイシャー。独自開発した素材「プラムテック®︎」を用いたスーツは、きわめて過酷な環境下においても本物のダウン素材に劣らぬ機能を発揮した。
白羽の矢が立ったのはインド人登山家のクンタル・A・ジョイシャー。彼は既に、’16年に一度エベレスト登頂に成功(もちろんそのときは他社製品を着用していたが)しており、勝算は十分である。
何よりジョイシャー自身が厳格なヴィーガンであったことが、夢を託したいちばんの理由だった。
「’19年5月、その夢はかないました。ジョイシャーは登山史上初めて動物由来の素材を身に着けることなく、また動物由来の食料を摂取することなく、エベレスト登頂に成功したのです」。
また’21年1月には、シェルパ族(※1)のミンマ・テンジが、セーブ・ザ・ダックのスーツを着用して世界第2位の高峰K2(8611m)の登頂に成功。しかも冬季初登頂という偉業である。
地球上で最も過酷な環境下においても、「プラムテックR」の優れた機能性が証明されたというわけだ。
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