OCEANS

SHARE

2022.12.29

ファッション

ダウンの日本代表「ナンガ」。最新作と定番作のブラボーな仕上がりを徹底解説!


「ザ・ベストダウン 2022」とは……

もしダウンにもワールドカップがあるとしたら、まず間違いなく「ナンガ」は日本代表に招集されるだろう。

今季ラインナップを見てみると、大定番のオーロラダウンからブランドのニューベーシックまで、やはりどれも間違いない仕上がりとなっている。そのブラボーな出来栄えを紹介しよう。

▶︎すべての写真を見る

紹介してくれたのは……

米澤 創さん●入社11年目を数えるナンガのセールス兼PR。ファッションブランドとの協業企画にも携わり、カタログ撮影では陣頭指揮をとる。また、自身も山を愛するアウトドアマンであり、自社アイテムを活用しながらデータ収集に余念がない。

米澤 創さん●入社11年目を数えるナンガのセールス兼PR。ファッションブランドとの協業企画にも携わり、カタログ撮影では陣頭指揮を執る。また、自身も山を愛するアウトドアマンであり、自社アイテムを活用しながらデータ収集に余念がない。


ナンガのはじまりは自転車の修理工場!

国内ダウンメーカーとして不動の地位を築いたナンガ。そのはじまりは、アウトドアメーカーでもなければ布団メーカーでもないことを知っている人は意外に少ない。



「もともと滋賀県で、1941年に横田縫製という会社が設立されました。布団の産地で知られる米原市多和田地区を中心に、主に真綿布団の下請けをしていたのですが、実はもっとさかのぼると始まりは自転車の修理屋だったんです」。

そんな折、ひとつの転換期を迎える。

「布団メーカーの下請けとしてキャリアを重ねていくなかで、大手アウトドアブランドから『寝袋を作ってほしい』という依頼が届きました。そして、その寝袋が高い評価を受けたんです。

とはいえ、やはり下請けは下請け。バブル崩壊の煽りで経済が不安定な時代でしたから、国内で物を作るには単価が合わなくなってきました。ナンガが誕生したのは、各社が生産拠点を海外に移し始めた頃でした」。



「ブランド名は本当に少しずつ、徐々に知られていきました。そして、2000年前後にOEMでダウンジャケットの製作を依頼され、そのクオリティが認められて一気に知名度を高めたんです」。


長年ブランドを支えてきた大定番



布団、寝袋、そしてダウンジャケット。なかには、世界的なダウンブランドの肝入りモデルも。これまでOEMとして手掛けてきた経験は、確実に技術と知識の厚みに繋がったに違いない。

そう思わせるほどに、フラッグシップモデルと呼ばれるオーロラダウンジャケットは老若男女に愛され、登山のプロからも絶賛されている。

「オーロラダウンジャケット」4万5100円/ナンガ 0794-55-1016

「オーロラダウンジャケット」4万5100円/ナンガ 0794-55-1016


「特筆すべきはやはり防水透湿素材の生地、オーロラテックスです。独自開発した生地で、かれこれ30年近く使われています。これに匹敵するのはゴアテックスぐらいではないでしょうか。

あとはダウンですよね。ダウンは80年以上の作り続けているので、そのあたりの知識や扱い方は誰にも負けません。

最近は『ヨーロピアンダウン』という単語も耳にしますが、それは主にフランス、スペイン、イタリア、ポルトガルといった国のものをミックスしている場合が多い。僕らは3年前から上質なスペイン産だけを使用しています」。

世界のダウンの産地といえば、フランス、カナダ、ポーランドあたりが有名だが、スペイン産を選んだのにはワケがある。



「僕も実際に足を運びましたが、スペインは膨大な土地があり、鳥が常に自由にストレスなく生活できる環境なんです。

かつ、雛鳥が飼育されている小屋には適切な温度をキープするための床暖房が設置され、餌を食べてるかどうかもデータ管理されるなど、最先端の技術が導入されています。

しっかりと運動もさせているので、フラストレーションも溜まりません。我々の知るところでは、世界最高峰のダウンだと思っています」。

そのクオリティは確かに見て取れる。




「760フィルパワーですから、街で着るにはちょっと暑いかもしれませんね。しかも、これだけ詰まっていて着心地はいたって軽量。

高品質な生地や羽毛を使い、日本の職人が丹精込めて仕上げる。それで5万円を大幅に下回りますから、そう真似できることではないと思います」。


2/2

次の記事を読み込んでいます。