大学を卒業後は新卒でミツカンに入社。
「表情筋が硬いことがコンプレックスでしたが、家族や友達と食事をしているときがいちばん上手く喋れているなと思って食品メーカーを選びました。ミツカンは歴史が古いのに新しいことにもどんどんチャレンジしているのも面白いなと思って」。
会議室には看板商品の一部も展示されていた。意外にも国内の売り上げは納豆がトップなんだとか。
とはいえ、鍋つゆやぽん酢も定番。
料理に使えてお酒の割材にもなる「ぽん酢サワー」も気になる。
ロゴのデザインはミツカン社員がベースを作ったそうだ。
「最近注目していただいているのは『辛鍋つゆ』シリーズです。辛い鍋というとキムチやスンドゥブぐらいしか思い付きませんでしたが、これがヒット商品になったんです」。
いちばん人気はW味噌。
さて、ここから「凹メシ」プロジェクトの話になる。
まず、莉奈さんたち「凹んでない課」のメンバーは「鍋を食べると凹んだ気分がやわらぐのではないか」という仮説を立てて実証実験を行う。
「弊社の社員75人の協力を得て、夕方の疲れている時間帯に鍋を食べてもらいました。すると、85.7%の人が『気分がやわらいだ』と答えたんです」。
凹んだら鍋を食べればいいのだ。
この実験結果をもとに「凹メシ」プロジェクトは走り出した。入社3年目の莉奈さんを支えるのは今回の推薦人、田中保憲さん。
「凹んでない課」の課長でもある。
御社の看板娘、いかがですか。
「彼女とは二人三脚でプロジェクトを進めてきたから、お互いに想いが強いんです。企画会議や打ち合わせも、どんどんヒートアップしちゃって。でも、一方で憎めないというか応援したくなるキャラなんですよね。
社内外の人に直筆の手紙を書くのが得意技で、メディアへのリリースにも手紙を添えています。そういう心配りはすごいなあと」。
そんなプロジェクトを体感できたのが、12月中旬の期間限定でオープンした「凹メシ食堂」だ。
場所は表参道の一等地。
莉奈さんが言う。
「『今年の凹みは今年のうちに』ということで、凹んだ気持ちをあたためるコンテンツをたくさん用意しました」。
広い会場に特注のコタツ5卓のみという贅沢な空間。
用意した鍋メニューは「焼あごだし鍋」「ごま豆乳鍋」「キムチ鍋」の3つ。なんと、すべて無料だ。「焼あごだし鍋」には焼あごのほかに、煮干、かつお、さばなど、7種類の出汁をブレンドしている。
〆はあごだし茶漬けにすれば最高の鍋つゆ。
なお、店内には来場者が最近の凹みを書くボードがある。「推しのライブが当たらなかった」「新品のお洋服に食べ物をこぼした」などの凹みが一堂に会した。
絵馬と違って名前を書く必要がないので全力で凹める。
「中には、オープンイベントにご参加いただいたなかやまきんに君さんの、パワー!で『流行語大賞獲れなかった』、元SKE須田亜香里さんの『独りに慣れ過ぎた』など、著名人の面白ネタも貼りました」。
最終的には1280個の凹みを鍋の効果で払拭できたようだ。
12種類の鍋つゆのどれかが絶対に当たる「凹メシくじ」。
「絶対に凹んだまま帰さないという想いがありました。ご自宅でも、あたたかいお鍋で凹んだ気持ちを癒していただけると嬉しいなという願いも込めています。
このプロジェクト以外でも、ミツカンは、えっ、こんな商品も販売しているんだという発見に満ちた会社。そういう部分も広めていきたいですね」。
取材を終えて退室しようとすると、莉奈さんが駆け寄ってきた。あ、お土産をいただけるんですね。
裏面にはもちろん直筆の手紙。
では、最後に読者へのメッセージもお願いします。
今後もどんどん活動を広げていくというから楽しみ。
[取材協力]ミツカンwww.mizkan.co.jp 凹メシプロジェクトwww.mizkan.co.jp/hekomeshi/