逗子の海で展開する海での放課後
一般社団法人「そっか」代表理事 永井 巧さん●1971年、東京都生まれ。代表理事を務める「そっか」は神奈川県逗子市をベースとする地縁コミュニティ。自然と暮らしが切り離されてしまった現代において、四季を通じ、子供も大人も逗子の森里川海で本気で遊ぶことによって両者をつなぎ直そうとする試みを行っている。2児の父。http://sokka.world
地域の子に海や自然とのつながりを感じてもらいたいと、2009年に始めた「黒門とびうおクラブ」は、今でこそ160人ほどの子供が参加する。だがスタート当時はわずか8人しかいなかった。
「当時は逗子にSUPをする人が見られ始めたタイミング。知人が新しくSUP事業を始めたウインドサーフィンショップのサポートを得ながら、もともと知っている親御さんの子供たちが参加してくれる形で週に1回の活動をしていたんです。とにかく海で楽しく遊ぼうと。
すると僕らにも気付きがあるもので、例えば大人が考えたその日のプランを、子供たちは失敗も学びに変えながら先回りしていくようになるんです。楽しさに貪欲な姿を目にして、あれこれうるさく言わないほうがいいなと思い、子供たちの自主性を大事にするようになりました」。
近くで大人が見守り、子供たちが自ら楽しく過ごす“海での放課後”は好評を得て、参加者が増えていき、’16年には一般社団法人へ。運営スタッフを増やし、活動内容は認可外保育園「うみのこ」、大人向けのアウトドアスポーツ、食に関わるプロジェクトなど多彩になっていった。
「活動が成長していけたのは、子供が自然に触れ合い成長できる環境づくりを行いたいという点において、共感できる大人と出会えたからです。
とても幸運なことですが、それは子供たちが生きる未来の社会に思いを馳せられ、そのうえで自然や海に触れる大切さを理解している人が多い逗子だったからなのだと思います」。
永井さんは海と生きてきた。その実体験から、海は多くの人の人生に豊かさを与えてくれると考えている。そして同様の考えを抱く人たちが逗子には多くいたのだ。
3/4